「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。
日本で「世界遺産」が注目されるようになったのは、いまから30年前の平成5(1993)年。文化遺産として「姫路城」と「法隆寺地域の仏教建造物」、自然遺産として「屋久島」と「白神山地」の4ヵ所が登録されたのが始まりです。いまでは令和3(2021)年に登録された「北海道・北東北の縄文遺跡群」「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」まで全25ヵ所となりました。今回は姫路城世界遺産登録30周年記念駅弁をいただきました。
東海道・山陽新幹線は、車窓からお城がよく見える新幹線です。東海道新幹線では小田原城、掛川城、清州城など。山陽新幹線では、福山城や小倉城が車窓に入りますが、何といってもやはり、国宝・姫路城の存在を抜きに新幹線とお城を語ることはできません。「のぞみ」や「みずほ」では、あっという間に通過してしまうことも多いですが、一部列車は姫路に停まる列車もあり、新幹線ホームや駅の前後からじっくりと眺めることができます。
姫路駅に降り立ちますと、目の前に姫路城が見えてきます。この姫路城が、平成5(1993)年12月11日、奈良の法隆寺と共に日本初の「世界文化遺産」に登録されてから30年となります。姫路駅の姫路城口(北口)前の広場は平成27(2015)年春までに再整備が行われて「キャッスルビュー」と呼ばれるデッキが設けられました。デッキに立てば、美しいお城の姿を一段高い場所から望むことができます。
この姫路城「世界文化遺産」登録30周年を記念した駅弁が、姫路を拠点に駅弁を製造するまねき食品から登場しています。「姫路城鶏のり弁」(1180円)と銘打たれたスリーブ式の包装は、「世界文化遺産登録30周年記念」と書かれてはいるものの、比較的落ち着いたパッケージとなっています。じつはこの駅弁、ふたを開けると「姫路城」が飛び出す仕掛けがあるんです。
【おしながき】
・だし飯 焼海苔
・鶏肉の照り焼き
・鶏肉の味噌焼き
・ちくわ磯辺揚げ
・厚焼き玉子
・人参煮
・小松菜漬け(小松菜、人参、椎茸ほか)
・大根甘酢漬け
真ん中にお城の形にカットされた飾り人参が目を引く「姫路城鶏のり弁」。ご飯は、まねき食品自慢の「えきそば」の出汁で炊いた「だし飯」が詰められ、上に焼海苔が敷かれて、鶏肉は照り焼きと味噌焼きの2つの味が楽しめるようになっています。そして、海苔弁らしい大きなちくわの磯辺揚げも十分な存在感です。なお、姫路城が飛び出すパッケージには、お城や世界遺産登録にまつわる簡単なエピソードも記されているのが嬉しいですね。
世界文化遺産登録30周年に合わせて姫路城を訪れたなら、姫路から30分ほど列車に揺られて、赤穂線の播州赤穂(あこう)駅まで足を伸ばしてみるのもいいかも知れません。討ち入りの日・12月14日には、赤穂市最大のイベント「赤穂義士祭」が開催されます。明治36(1903)年に始まり、今年(2023年)で120回目を迎える祭りの当日は元禄絵巻さながらのさまざまなパレードが繰り広げられる予定だということです。
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連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/