「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。
2023年も年末となりました。今年(2023年)1年を通してTVドラマで描かれたのが、徳川家康です。家康公は晩年、駿府(いまの静岡市)を拠点に、「大御所」として力をふるったといいます。そんなドラマと“大御所”ゆかりの静岡駅弁が、ドラマが佳境を迎えるのと時を同じくして、駅弁マーク35周年の記念掛け紙となっています。「1年の旅の締めくくりをどうする?」か、迷っている方、改めて静岡を訪ねてみるのもいいかも知れません。
日本一の山・富士山に見守られ、923形新幹線電気軌道総合試験車「ドクターイエロー」が東海道新幹線を下っていきます。新幹線の安全な運行を守るため、約10日に1日のペースで運行されていますが、運行日時は公表されていないため、出逢えるとラッキーな“幸せの黄色い新幹線”として多くの皆さんに愛されています。ここで得られたデータは、設備のメンテナンスの基礎資料として活用されているといいます。
メンテナンスといえば、江戸幕府を開いた徳川家康は、人一倍、体のメンテナンスに気を遣った人物とも伝えられています。そのおかげか平均寿命が30歳代だったともいわれる時代に75歳まで生きて、「大御所」として幕府の安定化に大きな力を発揮しました。JR静岡駅北口広場には、徳川家康公像・竹千代君像があり、撮影スポットになっています。ちなみに、駅前は壮年期・少年期の像で、大御所時代の像は駿府城公園にあります。
2023年の大河ドラマも大詰めの時期、改めて訪れたい静岡ですが、いまから40年前、昭和58(1983)年の大河ドラマ「徳川家康」の際に誕生した東海軒の静岡駅弁が「大御所弁当」(980円)です。この大御所弁当が11月20日から駅弁マーク35周年記念の掛け紙で販売されています。いつもは葵の紋が大きく描かれた掛け紙ですが、記念掛け紙には「駅弁マーク35周年記念」の文字が入っています。
【おしながき】
・鯛めし(桜飯・鯛そぼろ)
・赤飯 ごま
・焼き鯖
・蒲鉾
・玉子焼き
・海老の天ぷら
・鶏肉団子
・わさび漬け
・あんず
・安倍川もち(あんこ・きなこ)
大御所弁当は、静岡駅の伝統の味・鯛めしと赤飯が、一緒に味わえる幕の内弁当です。焼き鯖・蒲鉾・玉子焼きの“幕の内・三種の神器”が入っているのはもちろん、海老天に肉団子が加わって、デザートとしてあんずや安倍川もちも入っているのが嬉しいものです。明治生まれの「鯛めし」や昭和戦前生まれの「幕の内弁当」など、駅弁界の“大御所”が多い静岡駅弁ですが、大御所弁当も着実にロングセラーへの道を歩み続けています。
12月1日は、明治22(1889)年に静岡駅弁・東海軒の前身「加藤辨當店」が静岡駅で構内営業を始めた日であることから東海軒の創業記念日となっています。これに合わせ、2023年は12/1~3の3日間、創業135年目を祝って「創業祭」が開催されます。静岡駅コンコース売店をはじめとした東海軒の一部店舗では、「幕の内弁当」が特別価格で販売(数量限定)されたり、福引(12/1)、じゃんけん大会(12/2、3)なども予定されています。この週末、静岡を旅する方は、静岡駅で駅弁売店に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
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連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/