陸自発注のオスプレイについて 「今後は日本製のものをつくるべき」青山繁晴議員が言及

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作家で自由民主党・参議院議員の青山繁晴とジャーナリストの須田慎一郎が12月12日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。米国防総省が調達を終了する輸送機オスプレイについて解説した。

陸自発注のオスプレイについて 「今後は日本製のものをつくるべき」青山繁晴議員が言及

※画像はイメージです(オスプレイ MV22)

陸上自衛隊が発注しているオスプレイについて、松野官房長官が製造中と述べる

松野官房長官は12月11日の会見で、米国防総省が輸送機オスプレイの調達を終了するとアメリカメディアが報道していることに対し、日本の陸上自衛隊が発注している残り3機の予算措置は完了しており「アメリカにおいて製造中と承知している」と述べた。

機体ではなく、操縦に問題がある可能性も

飯田)先月(11月)末に屋久島沖でアメリカ空軍のオスプレイが墜落する事故がありました。さまざま報道されていますが、事故の原因も含め、まだわからないことが多いのでしょうか?

青山)自由民主党の国防部会を中心に議論しています。その他にも別途、米軍と自衛隊内部の双方から直接話を聞いています。オスプレイは機体に問題があるという話がよく出るのですが、それ以前に、飛行機とヘリが一緒になっているようなものは初めてですので、操縦の習熟までに時間が掛かります。今回は米空軍のCV22ですが、以前は海兵隊のMV22がよく事故を起こしていました。あれは操縦に慣れていなかったからなのです。

飯田)操縦に慣れていなかった。

青山)オスプレイは特殊作戦で使うものです。原因はまだわかりませんが、空軍では導入したばかりですので、「操縦と関係があるかも知れない」と思います。残念ながら日本側は事故について直接調べられず、米軍側が調べていましたが、全部停止しましたよね。つまり重大な問題があると考えざるを得ません。ただし、自衛隊と米軍は連携していますが、違うものですので、米軍で事故が起きたからと言って、直ちに「自衛隊も」ということではありません。

未だに事故原因を発表していない陸上自衛隊ヘリコプター墜落事故

青山)先日、国防部会で追及したのですが、沖縄で陸上自衛隊ヘリの墜落事故がありましたよね。あの事故もまだ原因が発表されていません。私は自分の動画で、「よく見せようと思って傾け過ぎて落ちたのではないか」と言っています。これはただの想像ではなく、内部証言をもとにした考えです。その方向ではないかと思っていますが、未だに発表されていません。

飯田)発表されていませんね。

青山)国防部会では、あの温厚な小野寺安保調査会長も「時間が掛かり過ぎではないか」と語気を強めていました。「誰が傾けたのか」ということです。師団長が「もっとよく見たいから傾けろ」と言ったのか、それともパイロットが自分で判断したのか。その問題で引っかかっているのだと思います。

軍用機の場合、オスプレイに限らず操縦に原因のある事故が多い

青山)軍用機の事故は、米軍でも自衛隊でも操縦が原因の場合が多いのです。民航機のように一定のルートで、一定の飛び方や降り方をするわけではありません。オペレーションや作戦に応じて変えますので、操縦をめぐる事故が多いのです。オスプレイは飛行機とヘリが一緒になっているので、難しい機体なのは事実ですが、最初から「機体に原因がある」と決めてかかるのはおかしい。松野官房長官が「製造は続いている」と示したからと言って、問題があるわけではありません。

米軍は同盟国である日本に情報を開示するべき

飯田)“ブラックキル”さんから、「オスプレイは災害派遣も含めて日本に必要な機体ではないかと考えていました。今後の方向性も教えていただきたいです」というご意見がありました。

青山)機体に欠陥があるかどうかを徹底して調べなくてはいけませんし、自衛隊は自衛隊で、操縦のあり方をよく訓練する必要があります。ただ、おっしゃる通り、日本は災害が多い国です。(オスプレイは)垂直に上がったり降りたりできる上に、飛行機と同じ速度で飛べます。ヘリとは比べものにならない速さで飛ぶので、人命救助にもつながります。ただし、日米同盟はあくまで対等なものであり、米軍は秘密主義にならないようにして欲しいですね。日本で墜落したのですから。たまたま漁船にぶつからなかっただけです。陸上自衛隊も入れているわけですから、徹底的に調べないといけません。

無理やりアメリカからオスプレイを押し付けられたわけではない

須田)納税者として思うのですが、オスプレイは調達が決まる前にもいろいろと事故がありました。調達の経緯について、アメリカに何か言われたのか、あるいは対米従属の発想があるのかなど、いろいろ疑問に思っています。「調達の経緯に何か問題があったのか、なかったのか」について、教えていただけないでしょうか?

青山)教えるという立場ではありませんが……。私自身は、「調達に深刻な問題があり、いらないものを押し付けられた」という話はつくられた話だと思います。

飯田)調達したのは、オスプレイの利便性などからでしょうか?

見本だけ入れて、あとは日本製のものをつくるべき

青山)まず、私は自衛隊の装備は、基本的にすべて国産化すべきだと思っています。オスプレイも見本としてアメリカから買い、そのあとは欠陥の克服も含め、日本製のものをつくるべきだと考えています。

飯田)日本製のものを。

青山)日本はアメリカに比べて遥かに狭い国ではありますが、横に長い。そういう意味では、どこからでも上がれて、どこにでも降りられる、そして飛行速度が速いオスプレイは最適です。ただ、習熟が難しいので、日本仕様のものを日本で生産するべきです。「FMS(有償軍事援助)」をご存知でしょうか? 「Foreign Military Sales」の略です。最後の「S」を「Service(サービス)」だと思っている人がいますが、正しくは「セールス」です。

飯田)セールスですか。

青山)アメリカは商売として売りつけてくるわけです。安倍さんが総理だったときに「FMS」をたくさん行い、その結果、日本の防衛産業がとても衰えてしまいました。安倍政権において大反省しなくてはいけないことだと思います。

飯田)防衛産業が衰えた。

青山)次期戦闘機に関しては、アメリカをついに外しました。単独開発は非常に難しいため、イギリス・イタリアと共同開発を考え、そこにサウジアラビアも加わるという話が出ています。アメリカを外したこと自体は画期的であり、今後は国産を中心に進めていくべきです。オスプレイのような巨額の調達には必ず裏が囁かれますが、基本的には見本だけ入れて、あとは日本でつくってしまうべきだと私は考えています。この発言は、アメリカにとって大変気に入らない発言だと思いますが。

オスプレイの配備に不安を抱える地元住民

須田)先日、佐賀空港に行ってきました。佐賀空港はオスプレイの受け入れ準備を進めている最中ですが、事故が相次いだので、地元住民に不安が広がっています。地元で話を聞くと、「自分たちのところに落ちてくるのではないか」など心配の声が上がります。自衛隊や政府は、その不安解消も行うべきだと思います。

青山)その通りです。もう1点だけ付け加えますと、「アメリカのものを買うべきだ」と言う人のなかには、「日米は一体となって防衛力を整備しているため、同じものでやるべきだ」という考え方もあるのです。しかし、いつも米軍と一緒に動いているわけではないので、基本的には国産で生産ラインをつくり、米軍にもきちんと機密情報を伝えるというやり方が正しいと思います。

ビジネスとは別に、抑止力のために日本の武器をアジア諸国に輸出することも必要

飯田)防衛産業をしっかり自分たちでつくる。ビジネスとしても利益を生む必要があると考えると、次期戦闘機もそうですが、複数の国で開発し、それをさらに別の国にも売るような仕組みをつくった方がいいと感じます。関連して、いま与党内でさまざまな議論がされている最中だと聞きますが……。

青山)公明党は慎重姿勢と言いますか、根本的には反対ですよね。

飯田)今月(12月)に入ってから、また方針が変わったという話もあります。

青山)アジア諸国はほとんど中国製の武器なのです。中国共産党は労せずして、諸国の軍事体系を握ってしまっている。中国製の武器を買わない国は、以前だとアジアでは日本・ベトナム・インドネシアの3ヵ国だけでしたが、もはやインドネシアは親中派になってしまいました。

飯田)インドネシアは。

青山)信頼できる日本製の武器を平和構築のため、抑止力のためにアジアに出していくという流れは、商売とは別にしても必要なのです。「武器を売るのは死の商人だ」という考え方だと、中国の独占状態になってしまいますので、私たちのような敗戦後の教育を受けてきた人間は、根本から考え直さないといけません。

そのためにも憲法9条を見直すべき

青山)第二次世界大戦であれだけの犠牲を出し、人類が学んだのは抑止力です。国際法で「deterrence(抑止)」と言いますが、「deterrence」を知らないのです。憲法でも否定されていますからね。武力で威嚇することもいけないと書いてあります。つまり抑止力も持てないので、そこから変えないといけません。

飯田)根本はやはり憲法9条でしょうか?

青山)憲法9条ですし、武器輸出の問題も「儲けのために行うわけではない」と言いたいです。戦前の日本には「工廠」と言って、商売を抜きにした国の工場がありました。例えば、戦艦「大和」は工廠がつくり、同型の「武蔵」は三菱重工業がつくるという官民の連携があったのです。でも戦争に負けたら、すべて悪いことになってしまった。「工廠」を復活させたいわけではなく、民主主義に基づく政府の工場、ビジネス抜きで平和のため、抑止力のために諸国の軍事体系と連携するという考え方も持つべきです。そのためにも憲法9条から見直さなくてはならないと思います。

経済に対してもプラスの効果をもたらす武器産業

須田)これから日本の防衛予算は5年間で総額43兆円になり、最終的には国内総生産(GDP)比2%まで上げられる方針です。これだけお金を掛けるということは、最優先課題は国防であり、安全保障体制の構築なのでしょう。同時に、経済に対してもプラスの効果をもたらすはずなのです。青山さんのおっしゃった通り、一方的に米軍の装備を調達するのではなく、国内産業として育成していくべきですし、それが43兆円の使い道として正しいのではないかと思います。

青山)自動車産業と同じように、平和のための武器産業もある。それが中国の独裁主義によるアジア圧迫を防ぐことにもなります。主権者と一緒に発想の転換をしなくてはいけません。

飯田)東南アジア諸国連合(ASEAN)各国も、中国・アメリカだけではなく、日本の存在感を求めているところがありますよね。

青山)国の名前は言いませんが、中央ヨーロッパの国から、日本の優秀な輸送機を買いたいという話がありました。私は献金をいっさい受け取りませんので、自由に動けます。しかし、値段が高すぎて買えませんでした。

飯田)そういう問題もあるのですね。

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