【花田優一さん】 画家やラジオパーソナリティ、歌手、タレント……。靴職人にとどまらない活動の原点は「そのとき熱中しているものを全力で」

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『スルミ presents トップジャム』は、ビジネスのトップシーンで活躍する方や気になる時事問題を読み解くスペシャリストを迎えて、お話を伺っていく番組です。

今日のゲストは靴職人の花田優一さん。実は福田アナはプライベートでのお友達、初対面の石塚さんも年齢が同じということで、あんな話やこんな話、いろんなトークが聞けそうです!

【花田優一さん】 画家やラジオパーソナリティ、歌手、タレント……。靴職人にとどまらない活動の原点は「そのとき熱中しているものを全力で」

福田:ゲストは靴職人の花田優一さんです。「優一さん」っていうのがすごく距離感があって、すごく緊張します。

花田:よろしくお願いします。典ちゃん出てるんで、トップジャムもいつも聞かせていただいてます。

福田:早速ですけれども、プロフィールをご紹介したいと思います。花田優一さんは東京都出身。15歳で単身アメリカに留学後、イタリアに渡り、靴職人に弟子入り。2015年に帰国すると靴職人として独立。都内に工房を構える一方、個展を開催するなど、画家としても活動。さらにはテレビ番組への出演、歌手デビューなど多方面で活躍されています。

石塚:すごいですね、その行動力。なんで15歳のときにアメリカに行かれたんですか?

花田:家系がアスリートというかお相撲さんの家系だったんですが、皆さん成功が早かったんですよね。21、22歳ぐらいで財も名誉も、っていう感じだったので。大学卒業してから社会に出て修行するっていう感覚が僕にはなくて、大学に行かないことだけは決めていました。20歳ぐらいではちゃんと飯が食えるように、と思ってはいたんですが、アスリートになるほど体もでかくないし、だったら腕で食っていくしかないと。いまなら絶対しない決断なんですけど、そのときはね夢を見たんですよ。

石塚:アメリカに渡った時点で、靴って決めてたんですか?

花田:アメリカに行ったときはNBA選手を目指してバスケットボール留学です。でもバスケちょっと無理かなと思って、そこでもう職人さんになろうと。

【花田優一さん】 画家やラジオパーソナリティ、歌手、タレント……。靴職人にとどまらない活動の原点は「そのとき熱中しているものを全力で」

福田:そのときの親への許可のもらい方をちょっと聞いてもらっていいですか?

石塚:どうやって許可もらったんですか?

花田:その振り方すごい嫌だなー。話したことある人の前で話すのあれなんですけど、僕16歳当時は、ものづくりが得意だったんです。図工美術が得意ぐらいなんですけど。それで「職人さんになりたいです」って(親に)言ったら、「学校で何番目なんだ、成績は」と聞かれて、「下から数えた方が早いですね」と説明したら、「職人っていうのは教科書を自分で作る職業なんだ。教科書がある世界で一番になれなかった奴が職人の世界なんて。なめんじゃねえぞ」と言われて。ごもっともだと。ただ、その後に「学校で一番の成績とったら、明日にでも(学校を)やめていい」って言われたので、勉強して一番の成績を持ってったら「もういいぞ」って。それで退学してイタリアに行きました。

福田:そこで頑張って、靴職人への道のりが開けるわけですよね。

花田:そうね。だから16、17歳当時の僕は、勉強をこんなにしなきゃいけないことは死ぬまで一度もないだろうと思ってたんですけど、イタリアで靴職人の修行をし始めたら勉強してたあの時代ってラクだったんだなって思いました。

石塚:(修行が)過酷だったんですね。

花田:結局、日本に帰ってきて独立して、自分の稼ぎや生活がまとわりついてくる中で靴を作ったときに、イタリアで靴だけやっててよかった、いい人生だったなと思うわけですよ。だから、その時々のことを全力でやるっていうのは大切なことなんだろうなとは思います。

石塚:優一さんの靴の特徴は?

花田:完全フルオーダーメイドですけど、世の中の靴屋さんはほぼ分業制。その靴屋さんの得意技があってその得意なモデルを足に合うように作ってあげるって感じなんですけど、僕の場合は靴のオーダーメイドしたことない方が僕を知ってくださって新規で来られる方が多いので、あなたが欲しい靴を何でも作ります、パンプスからスニーカーまで、という感じです。

石塚:パンプスもいけるんですか。

花田:何でも作るんですけど、ただ僕も1人でやっていて分業制じゃないので手間がかかるんですよ。(はじめは)「3年待ち」とか「140足待ち」とか言われて、メディアも喜んでくださったんです。でもその翌週は、「3年も待たせる靴職人」と揶揄されまして、炎上。燃えましたねー。

【花田優一さん】 画家やラジオパーソナリティ、歌手、タレント……。靴職人にとどまらない活動の原点は「そのとき熱中しているものを全力で」

福田:でも靴職人になって気付く良さみたいなところもあるわけですよね。

花田:結局、僕が学んだイタリアの町ではほぼ1000年以上、普通に一般市民が靴を履いていると考えると、歴史としては(日本とは)雲泥の差なんですよね。
なので、日本人の靴の文化や靴の価値観を上げるという意味で言うと、いち靴職人というよりはもうちょっと意味がある職業なんじゃないかなと思ってはいます。

福田:靴職人だけじゃなくて、絵を書いたり文章を書いたり、歌を作ったりしているっていうのは、表現方法を自分の中に幅広く持っておきたいみたいなところがあるんですか?

花田:そうですね。たとえば、ちっちゃいときから足が速かったり、いい子にしてたっていうだけでも、「いい教育してるね」ってお父さんやお母さんのことが褒められる。ただ僕がひとつ悪いことすると、「息子なんだからちゃんとしなさい」って言われる。そうなると生きてるうちに僕の承認欲求が満たされた瞬間っていうのはほぼなくて、言葉にできないもどかしさみたいなのがたらふくたまっていきまして。そうすると、会社に入って何かをしようというより、自分の漠然とした不満感みたいなものを作品に落とし込めて商売にしたら人の心に響いたりなんかするので、それは楽しいなと。

福田: ちなみにいろいろ作っている中で、自分の表現方法として、何が自分がいちばん表現できていると感じますか?

花田:僕は絵を書くことが大好きで、本来、画家になろうかなっていうのがいちばん最初にあったぐらいです。ただ、絵を書くことが好きだから職業にしたくないっていう考え方もあって。どんな仕事をしてても、唯一緊張するのは靴の納品だけ。だからもしかすると靴が一番好きなのかもしれないけど、職業である限り、「僕は靴作りが好きです」って言うことはないだろうなと。

【花田優一さん】 画家やラジオパーソナリティ、歌手、タレント……。靴職人にとどまらない活動の原点は「そのとき熱中しているものを全力で」

福田:これだけ話してもらってわかるように本当にお話も上手で、福岡でラジオ番組を持っていてパーソナリティとして活動もしてますけど、話す仕事ってどうですか?

花田:本当に好きで、10代の頃からラジオ大好きですね。さっきの承認欲求の話と通じるのが、見た目で入ってくる情報って僕の生きてる中では邪魔で。例えば、学生のときも制服見たら「あの学校なんだね」とか、顔見たら「似てるね」とかなるんですけど、ラジオの声って、すごいリスナーさんに近い媒体で、この時代だからこそ特にいいんじゃないかなと思ってます。

福田:これから30歳になるということなんですが、チャレンジしたいことを教えてください。

花田:今年で靴職人11年目、オーダーメイド職人としても11年目。この先何年もやっていくと思うんですけど、僕ひとりがお客様に一対一で作るだけだと、職人さんが衰退してる一途の中で、職人というものを拡散することができないと思ってます。だから既製靴だったり、あとは若手を育てることだったりっていうことにちょっとフォーカスして、職人として違う活動していこうかなと思ってます。

石塚:ブランドを立ち上げるみたいな感じですか?

花田:そうですね。秋ぐらいから既製靴を売って、そんなに高くない値段でいい靴を皆さんに履いていただきたいっていうのと、あと学校やろうかなと思って。いろいろやろうと思ってるんですけど、僕、経営ができなくて。あるお金、全部使っちゃうんですよ。

福田:ぜひそれは電波外のところへお任せいただいてということで。よろしくお願いします。最後にお知らせがあればお願いします。

花田:DMでも何でも「靴作りたいです」といただければ、本当に待っていただくという条件が揃えば作らせていただきますので待っております。あと、母の告知なんすけど、福岡県で2月16日に母の講演会があります。僕が手伝ってあげたりもしていますので、SNSでチェックしていただけたら嬉しいなと思っております。

福田:今日はあらためていかがでしたか?

石塚:皆さん同世代で話せるっていう楽しさと、優一さんの人柄がすごい良かったです。逆に、友だちとしてどうでしたか。

福田:早い段階からたくさんの苦労と荒波にもまれてということをしてきたからこそ紡ぎ出される言葉はすごく深みがあったり考えさせられるところがありました。今日はビジネスの話を中心にではなく、人生の話が中心でしたが、皆さんの人生のヒントになるような言葉がたくさん散りばめられていたのではないかなと思いますので、ぜひポッドキャストも聞いてみてください。

番組情報

スルミ presents トップジャム

毎週木曜日21:00-21:30

番組HP

フリーアナウンサー・福田典子が自身初のレギュラーラジオパーソナリティに挑戦!

「ビジネスの“トップ”が、ラジオで“ジャム”る(トークセッションする)番組」という意味が込められており、社会に新たな風を吹き込むビジネスシーンを紹介していきます。

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