北海道新幹線「奥津軽いまべつ駅」へ行ってみた~新青森駅「大人のこだわり贅沢フルコース」(1,500円)【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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今年3月26日に開業した「北海道新幹線」。
東京~新函館北斗間は途中、大宮・仙台・盛岡・新青森のみに停まる最速列車で「4時間2分」です。
「青森県・函館デスティネーションキャンペーン」も開催中の夏休み、「北海道新幹線」に乗ってみようという人もいることでしょう。
開業から4か月、新幹線やフェリー、飛行機を組み合わせた需要が増えているとも伝えられ、新幹線開業で様々な人の流れが生まれている様子。
これからさらに、新幹線と在来線、路線バスなどを組み合わせて周遊しやすいダイヤへブラッシュアップが期待されるところです。

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多くの人の関心は北海道・函館へ向いていますが、実は新青森と新函館北斗の間にも新たに2駅が開業しました。
今回やって来たのはその1つ、人口3,000人弱の町・青森県今別町(いまべつまち)の「奥津軽いまべつ駅」。
新青森駅から1駅およそ15分で、1日7往復(2~3時間に1本)の「はやぶさ・はやて」が停車します。
北海道新幹線の駅ですので「本州にあるJR北海道の駅」というのがちょっと珍しい感じ。
この「奥津軽いまべつ駅」はJR津軽線の津軽二股(つがる・ふたまた)駅と隣接、津軽鉄道・津軽中里駅までのバスも運行されています。

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この「奥津軽いまべつ駅」、併設されているのは「道の駅いまべつ」くらい。
駅周辺で時間をつぶすにはかなり難儀しそうですが、ココに駅があるのは「貨物列車」にとっては大事なこと。
「奥津軽いまべつ駅」の外側には貨物列車用の線路が敷かれており、降り立った日もEH800形機関車牽引の貨物列車が停車中。
「はやぶさ」を先に通して、貨物列車が後を追いかけるように発車していきました。
青函トンネルに入ってしまうと追い抜きが出来ませんから、トンネル直前のココがダイヤ上、重要な場所になっているものとみられます。

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駅舎はこの貨物線をまたぐため、駅前ロータリーからは長い連絡通路があります。
しかもこの通路、地上から115段の階段を登ったビル5階相当の高い場所にあるので見晴らしがイイんです。(もちろんエレベーターあり)
天候に恵まれれば、新幹線や貨物線の線路の向こうに津軽海峡と北海道を望むことも可能。
今回、駅に滞在したのは19:00~19:27までのわずか27分間だったのですが、津軽海峡が赤く染まっていました。
「奥津軽いまべつ駅」を訪ねた際は、ぜひ海の向こうの北海道と共に標準軌(1,435mm)の線路と狭軌(1,067mm)の線路が入り乱れる様子を眺めたいものです。

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この「北海道新幹線」の開業記念駅弁の1つとして、北東北エリアで販売されている駅弁が「大人のこだわり贅沢フルコース」(1,500円)。
青森の食材の魅力を最大限に発信したいという思いを込め、県産食材を使った9つのメニューがギュッと詰まった駅弁です。
レシピを考案したのは「あおもり侍シェフ」なる集団で、5人の姿を掛け紙に見ることが出来ます。
駅弁の調製は、長年、青森駅の駅弁を手がけてきた「ウェルネス伯養軒・青森支店」です。

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「あおもり侍シェフ」とは平成26(2014)年から、青森県産食材の魅力を最大限に表現したオリジナル料理の開発を行っている若手シェフ集団。
今回はそのうち5人が参加、試作と話し合いを繰り返して、それぞれのこだわりの味を披露しています。

○「お料理 七草」伊東広通シェフ(八戸市)
○「ル・ムロン・デ・オワゾ」小坂学シェフ(八戸市)
○「エヴィエ」佐藤玲一シェフ(青森市)
○「アグレアーブル」竹川克範シェフ(むつ市)
○「鮨diningいっぱち」西村力弥シェフ(青森市)

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【メニュー】

(1列目)
●鯖のフリット風味の白ワインビネガー和え(佐藤シェフ):八戸産鯖を使用。
●海峡サーモンと田酒酒粕風味のラタトゥイユ(竹川シェフ):大型のニジマスを津軽海峡の外海で育てた「海峡サーモン」を使用。
●シャモロックの香りそぼろご飯(伊東シェフ):五戸産のシャモロックをそぼろに・・・。
(2列目)
●鴨肉のポワレ(小坂シェフ):青森県産バルバリー種の鴨をポワレにし、塩・胡椒で味付け。
●青森ほたての煮汁合わせシャリ(西村シェフ):ご飯には酢飯を使用、煮汁と味のハーモニー。
●青森県産の牛蒡入りハンバーグ(佐藤シェフ):青森が生産量日本一の「ごぼう」を使用、ソースは赤ワインベース。
(3列目)
●赤ワインレーズン飯(佐藤シェフ):青森県産米を赤ワインで炊き、少し変わった味わい。
●いかメンチの美味あんかけ(伊東シェフ):八戸産イカに人参、玉葱などをすり身にして揚げたもの。
●彩り野菜のピクルス(小坂シェフ):青森りんごの醸造酢を使用。

青森のいいものを美味しく少しずつ味わえるのは有難いもの。
こういった「いいものを少量ずつ」タイプの駅弁の宿命で、1つが傑出して印象に残りにくいのですが、こういったプロジェクトは継続していくことに意義があると思います。
ぜひシェフの皆さんが、これからも季節ごとなどにメニューを入れ替えたりして、新青森の新定番として定着してくれたら嬉しいものです。

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青森県・函館デスティネーションキャンペーン」開催中の青函エリア。
ぜひ「北海道新幹線」で美味しいものをいっぱい召し上がってみてはいかがでしょうか。

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
「ライター望月の駅弁膝栗毛」
(取材・文:望月崇史)

【ごあいさつ】
はじめまして、放送作家の望月崇史(もちづき・たかふみ)と申します。
ニッポン放送には、昔の有楽町の社屋の頃から、かれこれ20年お世話になっています。
最近では、月~木・深夜24時からの「ミュ~コミ+プラス」で放送された、
ルートハンター」のコーナーに、5年ほど出演させていただきました。

そんな私がライフワークとしているのが「駅弁」の食べ歩き。
1年間に食べる「駅弁」の数は多い年でのべ500個。
通算でも4500個を超えているものと思います。
きっかけとなったのも、実はニッポン放送の番組。
2002年~05年に放送された「井筒和幸の土曜ニュースアドベンチャー」の
番組ウェブサイトで「ライター望月の駅弁膝栗毛」を連載することになり、
本格的に「全国の駅弁をひたすら食べまくる生活」に入りました。
以来、私自身のサイトや、近年は「ライター望月の駅弁いい気分」というブログで
「1日1駅弁」を基本に「駅弁」の紹介を続けています。
”駅弁生活15年目”、縁あってニッポン放送のサイトで連載させていただくことになりました。
3つの原則で「駅弁」の紹介をしていきたいと思います。

①1日1駅弁
②駅弁は現地購入
③駅弁のある「旅」も紹介

「1日1駅弁」ですので、日によって情報の濃淡はありますが、
出来るだけ旬の駅弁と鉄道旅の魅力をアップしていきますので、
ゆるりとお付き合い下さい。

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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