新津駅「名物 三色だんご(神尾弁当部版)」(650円)~「SLばんえつ物語号」4時間の旅② 【ライター望月の駅弁膝栗毛】

By -  公開:  更新:

津川駅にてSLばんえつ物語

週末を中心に新潟~会津若松間で運行されている快速「SLばんえつ物語」号。
新潟を9:30に発った会津若松行の列車は、途中の津川(つがわ、新潟県阿賀町)で15分停車します。
蒸気機関車の給水や点検が行われるこの15分間、乗客にとってはちょうどいい撮影タイム。
多くのお客さんがホームに降りて、気分転換がてら「C57形180号機」のまわりに集まります。
私もこの夏、久しぶりの仕事抜きのSL旅を満喫・・・その第2弾です!

阿賀川

磐越西線の車窓に広がるのは「阿賀野川(あがのがわ)」。
阿賀野川は新潟・福島・群馬の3県にまたがり、源流は福島・栃木の県境までさかのぼります。
日本4位の広い湖・猪苗代湖や尾瀬の水を集めて流れ、福島県側では「阿賀川」と呼ばれます。
豊富な水量ゆえダムが多く水力発電地帯となっており、磐越西線沿いにもダムが見られます。
ダムでせき止められた水はゆったりとした流れとなり、車窓に数々の美しい水鏡を生み出します。

新津駅,神尾弁当部

そんな美しい車窓を眺めながら、客もおやつでちょっとブレイクしたいもの。
実は「新津駅」の立売りでは、磐越西線の旅にふさわしい「おやつ」も売っているのです。
年季の入った「神尾弁当部」の立売りケース。
ケースの角に折詰が2つ、重ねられているのが見えます。
実はこの折詰こそ、新津で買うべき「おやつ」なのです。

新津駅,三新軒

お隣・三新軒の立売りケースでも販売。
その名も「三色だんご」(650円)といいます。
調製元はどちらも新津の「御菓子司 羽入(はにゅう)」。
「羽入」さんに伺ったところ、神尾弁当部、三新軒両方に卸しているそう。
最近は新潟駅などでも見ることが出来ますね。

三色だんご,神尾版

三新軒のほうは売り切れていたので、神尾弁当部の「三色だんご」を購入!
で・・・掛け紙を見た瞬間にびっくり!
「神尾弁当部」の「三色だんご」は『元祖かみを』というロゴが入ったオリジナルバージョンの掛け紙だったのです。
「神尾弁当部」のHPにもオリジナルの掛け紙をかけてもらっている旨がありました。

さらに「神尾弁当部」のHPを読み進めていくと驚くべき記述が!
『大正5年(1916年)新津名物『三色だんご』を開発し販売した』
てことは「三色だんご」を作ったのは「神尾弁当部」・・・それ故の「元祖かみを」ということか???
しかも今年「2016年」が誕生「100周年」のメモリアルイヤーではないですか!

「神尾弁当部」の社長さんに伺ったところ、確かに開発したのは「神尾弁当部」なんだそう。
この時「神尾弁当部」で働いていた羽入さんが後に独立され、今のお店を出しているということです。
「元祖かみを」の掛け紙には、羽入さんの元祖への敬意が込められていたんですね!!

三色だんご,神尾版

掛け紙とふたを外すと、こし、白、ごまの3つのあんの中に、小ぶりの24個のお団子がぎっちり!!
シンプル過ぎる構成で気持ちいいくらいです。
見た目の鮮やかさ、後に引かない甘み、胃にもたれない上新粉の団子。
100年続く「鉄道土産」は当たり前のように「美味しい」!
当時はやっぱり「汽車」だったでしょうから、これから「SLばんえつ物語」号に乗る予定がある方は、ぜひ新津の「三色だんご」をいただきながら100年前の人たちに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

SLばんえつ物語

「SLばんえつ物語号」は津川駅でようやく中間地点。
これから会津へ向けて、2時間の道のりが待っています。

(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

Page top