熱海駅「熱海来福幕の内」(1,080円)~食べて福が来る!?「来宮神社」ゆかりの駅弁【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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bl161222-1(スーパービュー踊り子)

251系特急「スーパービュー踊り子」

熱海駅に来宮(きのみや)方からくねくねとしながら入って来る10両編成の列車は、伊豆急下田始発の特急「スーパービュー踊り子」号。
”スーパービュー”の名にふさわしく、天井まで回り込んだ大きな窓が特徴です。
「スーパービュー踊り子」に充当される251系電車のコンセプトは「乗った時から、そこは伊豆」。
平成2(1990)年のデビュー以来、リニューアルされながら、四半世紀以上の活躍を続けています。
全車指定席で運行され、乗車時にドア横でアテンダントさんが「きっぷの拝見」をする少し珍しい列車でもあります。

bl161222-2(来宮神社)

来宮神社

熱海からJR伊東線で1駅の「来宮(きのみや)駅」。
駅を左に出て、道なりに進んでガードをくぐった所にあるのが「来宮神社」。
近年はいわゆる”パワースポット”として、女性を中心に人気を集めています。
中でも樹齢2000年以上と云われる大きなクスノキは、国の天然記念物。
「幹を1周廻ると寿命が1年延びる」「心に願いを秘めながら1周すると願い事が叶う」といった伝説もあるといいます。

bl161222-3(熱海来福幕の内)

熱海来福幕の内

そんな「来宮神社」ゆかりの駅弁が、熱海駅に登場しています。
その名も「熱海来福幕の内」(1080円)。
調整元は小田原を本拠地に、昭和戦前から熱海駅の駅弁を手がけてきた「東華軒(とうかけん)」です。
熱海でも駅弁売場(在来線)をNREが手がけるようになってから、大船軒の駅弁も販売されてきましたが、ここへきて西から桃中軒も参入。
元からの「東華軒」も刺激を受けたか、新たな熱海オリジナル駅弁を投入してきました。

bl161222-4(熱海来復幕の内)

熱海来福幕の内

実はこの幕の内、ストーリー性があってちょっと面白い!
「来宮神社」には、神事で使う食材に「橙(だいだい)、百合根、麦こがし」があります。
これに基づいて「鶏唐揚げ”橙”酢和え」「煮物(”百合根”添え)」「白玉餡”麦こがし”掛け」のおかずやデザートが登場。
さらに伊豆の名物「”金目鯛”の照り焼き」や、熱海梅林に因んだ「竹輪”梅”肉揚げ」等も加わって、もういただくだけで有難い「福が来そうな」幕の内になりました。
もちろん、東華軒名物「とりそぼろ」も入っているので、白いご飯もよく進みます。
ちなみに「麦こがし」を使ったスイーツは、来宮周辺のお菓子屋さんやパン屋さんでも作られており、それぞれの店や神社のお休み処などで販売され、熱海の新名物にもなっています。

bl161222-5(相模灘からの伊豆大島)

東海道線から望む伊豆大島

「スーパービュー踊り子」に乗る時は、もちろん海側のA席を指名買い。
3~8号車の普通車では、下りは偶数番、上りは奇数番をシートマップなどで選んでおくと、より大きな窓を楽しめます。
冷え込んだ日は車窓から、手前に「初島」、その向こうに大きな伊豆大島が見えることも・・・。
東京がどんなに寒い朝でも、小田原を過ぎれば空気が一気に”ぬるく”なるのが分かります。
一陽来復と云われる冬至を過ぎた今の時期こそ、熱海で食べたい「来福」駅弁です。

(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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