東京から東海道新幹線で1時間あまり。
天竜川を渡って間もなく、「のぞみ」が若干減速しながら左カーブに差し掛かると「浜松駅」です。
浜松には毎時1本「ひかり」が停車、東京からはおよそ1時間半で到着します。
3月4日のダイヤ改正からは、静岡・浜松停車の「ひかり」も全てN700系に・・・。
700系は「こだま」での活躍が中心となるようです。
浜松といえば、大河ドラマの主人公「井伊直虎」で注目を集めています。
JR東海ツアーズの“直虎系”旅行商品も出ており、注目は3月まで販売予定の「井伊直虎ゆかりの地 日帰り1day浜松」。
東京~浜松の新幹線往復指定席に、浜松周辺のフリー乗車券「ふじのくに家康公きっぷ(西部)」が付いて「11500円」!
東京~静岡の自由席往復料金+αで浜松まで行けて、クーポンなども付いたお得な商品です。
http://www.jrtours.co.jp/domestic/tour/TourDetail.aspx?sc=1&cn=B10254&csk=64&rp=0001&snf=201702&sbf=&fs=0001&lqs=sc:1.snf:201702.sbf:0.rn:1.hm:400.tf:410.er:416.hc:.rs:.fs:0001.an:0.sj:.kj:.pj:.st:
今回はこの旅行商品を使って、浜松の井伊直虎ゆかりの地を訪ねます。
まずは「ふじのくに家康公きっぷ」も使える、浜松駅に隣接した遠州鉄道・新浜松駅へ・・・。
遠州鉄道の電車線は、新浜松から西鹿島まで17kmあまりを結ぶ路線。
赤い電車、通称「赤電」が2~4両編成で行ったり来たりしています。
日中は、12分間隔で統一され、分かりやすいダイヤになっているのも特徴です。
遠州鉄道線の終点・西鹿島(にしかじま)駅は、山小屋風の駅舎。
浜松市天竜区の玄関口として、天竜美林をイメージしたものだそうです。
ココでは第3セクターの「天竜浜名湖鉄道」と接続しています。
駅前からはJR飯田線の水窪駅方面へ向かう遠鉄バスの「水窪町」行も1日5本運行。
今回は、改札内の地下道を通って、「天竜浜名湖鉄道」の新所原行に乗り換えます。
「天竜浜名湖鉄道」は、東海道線の掛川~新所原間を浜名湖北岸経由で結ぶ路線です。
昭和62(1987)年の3月までは、国鉄二俣線でした。
JR直前に3セク化され「天竜浜名湖鉄道」となり、今年が開業30周年。
現在はワンマン運転のTH2100形気動車が、日中ほぼ毎時1本、運行されています。
遠州鉄道からは、新浜松「毎時0、12分発」の列車に乗ると、上手く乗り継げます。
「ふじのくに家康公きっぷ」では、遠州鉄道のバスも全線乗り放題。
今回は天浜線の金指駅で、奥山行のバスに乗り継いで「井伊谷(いいのや)」を目指します。
実はこのバス、浜松駅始発なので、乗り換えが面倒な方は、最初からバスがお薦め。
浜松駅バスターミナルで、44系統・45系統に乗れば、およそ1時間の所要時間。
特に浜松停車の下り「ひかり」から乗り継ぎ可能な浜松駅毎時55分発の便は、井伊直虎ゆかりの寺に一番近い「井伊谷宮前」バス停を経由するダイヤ設定になっているのが好印象です。
直虎をはじめとした井伊家の菩提寺が、臨済宗妙心寺派の「龍潭寺(りょうたんじ)」。
井伊氏といえば、多くの人が思い浮かべるのが、幕末の大老・井伊直弼です。
ルーツを辿ると、徳川家康に仕えて徳川四天王の筆頭になった二十四代の井伊直政へ・・・。
この直政が登場する直前、女城主としてお家断絶のピンチにあった井伊家を救い、後見人となって直政の養育に当たったのが「井伊直虎」と云われています。
(拝観料:大人500円)
この龍潭寺から、みかん畑の中、急な坂道を歩いて登って行くと「井伊谷城跡」。
井伊谷を一望できる丘陵に築かれた山城で、井伊氏の根拠地だったと言われています。
高台からは右手奥に浜名湖も見えて、龍潭寺から往復1時間程度の程よい運動になります。
やはり、大河ドラマ効果は絶大で、訪れた日は平日でしたが、アクティブシニアの皆さんを中心に龍潭寺周辺は、多くの人でにぎわっていました。
大河ドラマがあると、関連するエリアでほぼ必ず生まれるのが「駅弁」!
今回、浜松駅弁「自笑亭」が投入したのは「出世法師 直虎ちゃん弁当」(1050円)です。
「出世法師 直虎ちゃん」は、去年(2016年)登場した浜松市のマスコットキャラクター。
これに合わせ、駅弁も去年10月から販売が開始されました。
井伊家の「赤備え」をイメージして、掛け紙も「赤」が基調となっています。
【お品書き】
・鶏肉のパプリカ焼
・有頭海老
・キャベツ餃子紅生姜天
・パプリカ素揚げ
・煮物
・みかん御飯(「青島みかん」のしぼり汁を使用)
・しらす御飯(遠州灘沖の「しらす」を使用)
・漬物
・みかんわらび餅
食材も井伊家の「赤備え」をイメージして、パプリカ、海老、紅生姜などの「赤」が目立ちます。
ご当地の味、浜松のキャベツ餃子に紅生姜を合わせ、揚餃子にしているのも面白い工夫。
浜松駅の売店では、去年、駅弁膝栗毛でもご紹介した「出世大名 家康くん弁当」の姉妹品として“浜松発二大出世弁当”のコピーで、セットでPRされていました。
家康くん弁当と比べて、ご飯の形や盛り付け方などが女性らしさを感じさせてくれますね。
ドラマがヒットすると、駅弁もロングセラーになる傾向があります。
特に仙台駅弁・こばやしが販売している駅弁「独眼竜政宗辨當」は、30年前、昭和62(1987)年の大河ドラマ「独眼竜政宗」由来ですよね。
果たして直虎ちゃん弁当はロングセラーとなれるか、今後も見守っていくことにしましょう。
(取材・文:望月崇史)
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/