「えちごトキめきリゾート 雪月花」は、直江津から10分ほどで高田に到着。
この日、乗車した冬季運行では、高田で93分の停車時間が設けられ、高田の名物「雁木(がんぎ)通りツアー」が開催されました。
地元の皆さんによる出迎えを受け、乗客は3班に分かれて、高田の市街地へ・・・。
いっぱいの雪・・・といきたいところでしたが、春の訪れは早く、この日は冷たい雨でした。
雁木通りの「雁木(がんぎ)」とは、家の前に出した庇(ひさし)の呼び名のこと。
「雁木通り」は、道路沿いの家々が庇を伸ばすことで、冬の積雪時の道路を確保する雪国の暮らしの知恵なんだそうです。
高田には今も総延長およそ16キロに及ぶ雁木が残っていて、日本一の長さを誇ります。
参考:新潟県公式観光サイト「にいがた観光ナビ」
こういった「雁木」の解説を、地元のボランティアの方や「雪月花」の名物車掌・樋浦さんなどから受けながら、雁木通りを歩いて町家交流館「高田小町」を目指します。
新潟のローカル牛乳「塚田牛乳」の牛乳箱をのぞいてみると、住所の表記がまだ「高田市」!
城下町・高田と港町・直江津が合併して「上越市」が誕生したのが、昭和46(1971)年のことですから、実に45年以上前からある牛乳箱ということでしょうか。
町家交流館「高田小町」は、明治時代に建築された町家「旧小妻屋」を再生・活用した交流施設。
この日は、「雪月花」のお客さんのために、地元の皆さんが上越の味を振る舞うなど、様々な企画を展開していて、私も「雪国装束体験コーナー」でとんびコートを着用してみました。
観光列車は、どうしても「乗り鉄」傾向が強いのですが、こういった「街へ出る企画」も面白い!
特に私のようなリピーターには、一度目は車窓で見るだけだった沿線の街がどうなっているのか、どんな人たちがどんな暮らしをしているのか知ることが出来て、知的好奇心も満たされました。
「雪月花」の雁木通りツアーは、冬季特別運行の特別企画で現在は終了していますが、今後もきっと、エリアを変えながら、いろんな「仕掛け」を作っていってくれることでしょう。
こんなレトロ雰囲気の街を歩いた後にピッタリな駅弁といえば、直江津駅弁「ホテルハイマート」の「とりめし」(950円)かもしれません。
実はこの駅弁も、10月~翌年5月までの冬季を中心とした期間限定駅弁。
現在は、掛け紙も昔の復刻版となっています。
上越妙高駅などで予約なしで買えることもありますが、確実な入手には予約がお薦めです。
海鮮系が多い直江津の駅弁にあって、肉系の「とりめし」の存在は有難いもの。
白い掛け紙を外すと、白いご飯の上にそぼろがまぶされた肉厚な鶏肉が5枚現れました。
香の物、野沢菜わさびとガリが、付け合わせとして入っていて、シンプルな造りが気持ちいい!
間もなく国鉄がJRになって丸30年となりますが、特急「あさま」や「白山」、あるいは急行「赤倉」などが、直江津や高田を行き交った時代を思い浮かべていただくと感慨深いかも。
高田といえば、今年も4/1~17まで「第92回 高田城百万人観桜会」が開かれます。
日本三大夜桜と謳われる、高田公園の夜桜。
私も平成15(2003)年に訪れて以来、ちょっとご無沙汰気味なのですが、上越妙高駅の上り最終「はくたか」は21:21発なので、21時過ぎに高田駅を出れば、実は日帰りも出来ちゃうんですね。
勿論、時間とお財布に余裕があれば、妙高周辺の温泉に泊まってのんびりしましょう!
(取材・文:望月崇史)
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/