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E653系特急「しらゆき」
えちごトキめき鉄道の高田駅に入ってきたのは、新潟からの特急「しらゆき」。
「しらゆき」は1日5往復運行され、新潟~上越妙高・新井間をおよそ2時間で結びます。
新潟県内完結の特急ながら、2時間という所要時間は、新潟の広さを物語っていますね。
上越妙高では北陸新幹線「はくたか」と接続、富山・金沢方面への速達需要に対応。
「しらゆき」のJR東日本E653系電車は、元・常磐線の「フレッシュひたち」だった車両です。
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二本木駅
さて、えちごトキめき鉄道の観光列車「えちごトキめきリゾート 雪月花」は、特急「しらゆき」を先に通した後、妙高はねうまライン(旧・信越本線)の二本木までやってきました。
二本木は、明治時代からの「スイッチバック」が残る駅で、「雪月花」でも1つのハイライト!
「雪月花」の前面展望席から妙高高原方面を望めば、25パーミルの登り坂が一望できます。
スイッチバックと聞くと、観光客の感覚ではちょっとしたアトラクションのように感じますが、施設の維持管理は大変でしょうし、冬季はスプリンクラーによる消雪を徹底することが求められます。
冬に訪れたことで、改めて第3セクターの鉄道を守る皆さんのご苦労を感じることが出来ました。
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えちごトキめきリゾート「雪月花」
この日の「雪月花」は、二本木で折り返して、終点・上越妙高に到着。
糸魚川~直江津~高田~二本木~上越妙高と、北陸新幹線では10分ちょっとで通り過ぎる所を、およそ4時間の旅を楽しむことが出来ました。
鮮烈な赤い車体に別れを告げ、アテンダントさんの見送りを受けて、帰路につきます。
きっと、また乗りますので、その時は改めてレポートすることにいたしましょう。
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釜ぶた弁当
上越妙高駅では、直江津駅弁「ホテルハイマート」が、昔の屋号「山崎屋旅館」に因んで出店した「駅弁 山崎屋」というお店で駅弁を販売しています。
上越妙高駅ゆかりの駅弁といえば、黄色い掛け紙が印象的な「釜ぶた弁当」(1,100円)。
“釜ぶた”とは、駅近くで見つかった「釜蓋(かまぶた)遺跡」に因んだネーミング。
釜蓋遺跡は、弥生時代末期から古墳時代初期の遺跡で、沢山の米粒が出土したといいます。
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釜ぶた弁当
黄色い掛け紙を外してふたを開けると、たっぷりの豚肉が顔を出しました。
なるほど、釜蓋で「豚」という訳ですね!
この駅弁は、平成25(2013)年に上越商工会議所青年部の主催で行われた「釜蓋遺跡をイメージした駅弁コンテスト」で1位になったレシピを基に作られました。
考案したのは、当時小学生のお嬢さんで、掛け紙にもしっかり顔出ししています。
駅弁の掛け紙は全国各地に運ばれていきますから、きっと上越イチ“顔が広い”お嬢さんかも。
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釜ぶた弁当
醤油ベースで味付けされた豚肉の上に、ゴマがふられていい風味になっています。
豚肉をご飯と一緒に口へ運ぶと、ご飯の中からコリコリっと野菜の食感が・・・。
白飯に切干大根の味噌漬とガリが混ぜ込んであって、ゴマと一緒に食欲をそそってくれるんです。
これに大根のみそ漬け、野沢菜漬け、味噌大葉巻きが付いて、ささやかなおかず。
冷めても美味しく食べられる、シンプルながらも程よい特色のある豚肉駅弁です。
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北陸新幹線E7系
金沢開業から2年あまりの北陸新幹線。
この春、北陸からはE2系新幹線が引退し、車両も全てE7(W7)系に揃いました。
開業の話題に乗って金沢方面へ足を伸ばした方は、沢山いらっしゃると思いますが、実は途中駅にこそ、大きな魅力が隠れているのが北陸新幹線!
今度はぜひ上越妙高、糸魚川・・・とローカル線を組み合わせた旅を楽しんでみてはいかがでしょうか?
(取材・文:望月崇史)
連載情報
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ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/