インダストリー4.0って何だ!?【ひでたけのやじうま好奇心】
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世界の産業界でキーワードになっている言葉「インダストリー4.0」。
自分なりにちょっと調べてみました。
日本語でいうと「第4次産業革命」。
歴史上、世界の産業界ではこれまで3つの革命があったとされています。
第1次産業革命は、18世紀の工場などにおける「蒸気」による機械化。
第2次産業革命は、20世紀初頭の「電力」による大量生産の実現。
そして第3次は、1980年代以降の「コンピューター」による生産の自動化。
世界のモノづくりの現場は、こうした革新的な技術の進化によって段階的に発展してきて、それに次ぐのが第4次産業革命、『インダストリー4.0』だそうです。
インダストリー4.0の基本コンセプトは『自ら考える工場』。
すでに日本の工場には、優秀な産業用ロボットも導入されていますが、この『自ら考える工場』は その規模を工場全体に広げようというもの。
例えば、工場のあらゆる場所にセンサーを設置して、機械やロボットの異常などを感知し、システムが自動的に修理をする。また工場全体で使用しているエネルギーの量を管理して、生産性の悪いラインは、自動的にエネルギーの供給を一時的に止める。
自ら考える工場は、そんな工場自らが全体のシステムを監視・分析し、自分で決定する能力を持つ工場というイメージ。センサーやインターネット、また人工知能の組み合わせが、これを実現するわけです。
そしてさらに、『考える工場』は、データを蓄積・分析することで、ものづくりの現場を最適なものに変えていきます。
工場やロボットに組み込まれたセンサーが製品や材料の動きを把握する。
工場で働く人の行動を把握し、その人にあった作業場に配置する。
お客さんからの注文もリアルタイムに把握する。
あらゆるデータを集約して、製品を作るうえで最も効率のいい方法や手順を考え、より効率的に製品を生産していくわけです。
このような『自ら考える工場』が求められている主な理由は「コスト削減」です。
ロボットに異常があった場合の発見から改善までの時間やロスの削減、エネルギーの削減、人件費の削減、あらゆるコストを見直すことができます。
また工場同士がネットワークでつながることによる「作業の効率化」も理由の1つ。
例えば、1つの企業が「同じ製品を作る工場」を5つ持っていて、それぞれの稼働率が20%の場合、1つの工場に作業を集中させて100%にすれば、ほかの4つの工場は運転を止めることができますよね。
工場同士がネットワークでつながると、お互いの工場の考えも把握した上で、よりよい方法を瞬時に判断して実行してくれるわけです。相当なコストダウンです。
この『自ら考える工場』が世界中に広がったらどうなるか。
あらゆる「ものづくりの現場」がネットワークでつながるわけですから、世界の産業界は構造そのものが変化を遂げることになります。
これがドイツのいうところの「インダストリー4.0」の大まかな概要です。
実はこの取組は、以前から 日本をはじめ各国で行われています。
つまり「まったく新しい考え方」ではないんですね。
どうしてドイツがこの『インダストリー4.0』の取組において国を挙げて、産官学で取り組むと高らかに宣言したか。
ドイツはモノづくり大国で、新たな技術や考え方を生み出す中堅企業が多い国。しかしその一方で、高コスト体質が問題となっていました。
そんな中で、これからの産業界を見据えた場合、そのコストを下げていかないと、人件費などが安い中国や、高度なデジタル能力を持つアメリカと渡り合っていけないと危機感を持っていたんですね。
そこで、世界における「ものづくり」のイニシアティブをとるために、インダストリー4.0への取組を本格的に始めたわけです。
実際のところ、ドイツの取組も始まったばかりです。
工場のあり方が変わる中で、労働者の雇用の問題などもあります。
ただドイツはもちろんのこと、世界の産業界で、『自ら考える工場』の取組は進んでいますし、産業界が大きく変わろうとしているのは確かです。
新たな産業革命が 私たちの生活にどのような変化をもたらすのか、今後、注目を集めることになりそうです。
3月30日(木) 高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より