百条委員会の証人喚問終了~浜渦元副知事に偽証の疑い 高嶋ひでたけのあさラジ!

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4/5(水)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③

未だ解明されない豊洲移転問題の全容
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター鈴木哲夫(ジャーナリスト)

都議会の百条委員会に臨む浜渦武生元東京都副知事=20170319 写真提供:産経新聞社

都議会の百条委員会に臨む浜渦武生元東京都副知事=20170319 写真提供:産経新聞社


食い違う浜渦元副知事と前川耀男練馬区長の証言

東京の築地市場の豊洲移転問題を検証する東京都議会の調査特別委員会、いわゆる「百条委員会」は昨日、都庁の元幹部を証人喚問しました。昨日で石原元知事や東京ガスの幹部ら24人の証人喚問が終わり、今後は豊洲に移転するかどうかを巡る小池知事の判断に焦点が移ります。

高嶋)石原さんが出た時だけ一生懸命テレビを観ていましたけども、あとは「そうか、まだやっていたのか」と、ドジな私なんか思った訳ですけどね。昨日が一番肝心だったという話なのですね。それでは昨日の都議会の動きを中心にして、ニッポン放送報道部の森田耕次解説委員です。

森田)昨日の百条委員会では東京ガスとの用地取得交渉当時、東京都の幹部だった前川耀男練馬区長、それからやはり交渉に関わった元東京都幹部の赤星経昭さんと野村寛さん、この3人が証人喚問されました。この内前川練馬区長は2002年から2005年にかけて知事本局長などを務め、用地交渉に関係する各部局の調整役をしておりました。東京都退職後の2005年に東京ガスに再就職し、2012年まで執行役員を務めておりました。
石原元都知事は3月3日の記者会見で、この前川さんが用地買収の交渉役だったと名指ししたのですが、これに前川さんは当時福祉局長だったということで反論し、石原さんも誤りだったと訂正しているのですね。
その前川さんは昨日の証人喚問の中では、用地買収の交渉役だった浜渦元副知事が一貫して市場の決定権を持っていたのだと証言しました。

前川練馬区長)浜渦さんの担当局には終始一貫、市場と知事本部が入っていた訳でありまして、そういう意味ではこの豊洲問題についての実際の最高の決定権者は浜渦さんでありました。その責任を他に預けるとか任せるということはあり得ないと私は考えております。

森田)これに対して浜渦さんの方は先月19日の証人喚問で「私の担当は用地取得の基本合意までだった、その後は報告も受けていない」と証言しておりまして、公明党や共産党などは浜渦さんに偽証の疑いが濃厚だという指摘をしております。それから前川練馬区長は昨日の喚問の中で「浜渦さんが石原知事の分身だった、お手紙を出して了承を得るのが現実だった」と述べています。

前川練馬区長)石原知事が極めて僅かしか登庁されないと、そういう中でいわば知事の分身として浜渦さんが力をふるっていたことは、これは事実であると思います。自分の所管の局はもちろんその局を超えて他の局についても直接部課長を指揮していたというのが実態であろうと思います。そしてしかも浜渦さんに会うことさえもお手紙を出さなければ会えないといった、そういった状況が作られていました。

森田)百条委員会は昨日で24人の証人喚問を終えまして、再喚問や追加の証人を呼ぶかどうかは今後協議する方針です。ですがこれまでの質疑がおよそ25時間に及び、東京都や東京ガスが提出した資料も段ボール100箱分以上に上ったということで、ある都議会議員は「今の結果だけでは終わりにし辛いけれども、都議選の準備もあって早く着地点を探さないといけない」と、こう話しています。
一方小池知事の方は新たに都庁内に「市場のあり方戦略本部」を作りまして、一昨日初会合を開いております。戦略本部での総点検を踏まえて小池知事が判断する方向なのですが、小池知事と協力する公明党も6月の都議会定例会までにはこの移転問題に結論を出すよう求めています。


今回の証人喚問は2005年の百条委員会の再現

高嶋)まず、実質的には全部浜渦さんが決めていたのだと、何か石原都知事が週に数回しか登庁しないというのは有名な話ですよね。我々も知っていた訳ですけども。その中で全権を都知事は浜渦さんに委任したと、百条委員会でもそう言っていましたよね。全部もう浜渦任せみたいな。そこから付随して出て来る、お手紙を出さないと会えなかったとか、詫び状を書かされたとか、やれなんたらかんたらというのは、これはなまじっか嘘ではないな、みたいな印象で捉えられてしまうのですが、浜渦さんと非常に近い、近いというか取材をよくされている鈴木哲夫さんって人は、本音はどんなことを考えていますか?

鈴木)まあ一言で、昨日の百条委員会を観て感想を言ったら「2005年のデジャヴ」ですね。

高嶋)2005年に1回呼ばれているのですよね、証人喚問にね。

鈴木)あのね、百条委員会というのがあって、これは何かというと要するに浜渦さんがいろんな議会対策なんかでいろいろ問題があったということで、浜渦さんを、副知事を更迭する為の百条委員会という風に簡単に言うとそう言っていいのですけど、その時と全くそれを繰り返している。
どういうことかというと、結局浜渦さんっていうのがなんで副知事になったかというと、副知事というのは行政組織の中では職員にとっては最高ポストですよね。ここに外部からの浜渦さんを置くことによって、東京都をビシッと改革していくと、要するに石原さんの息の掛かった人が副知事になって、そして都庁の組織をビシッとやるのだと、その為に就けた訳ですよね。
無理を当然しますよ、改革だから。給与を削減するとか、天下り先を無くしちゃうとか、そうやって自分に浜渦さんとしては権限を集中させて、そして石原さんが仕事しやすいようにビシッとやるというかね。

高嶋)今言ったようなことは石原さんのお手柄になっていますものね。

鈴木)そうです。それでそうなると当然都の職員からすると、今までの長い経緯とかいろいろやってきている中でいきなりトップに副知事浜渦さんが来て、バンバンやられると都の職員からすると「ふざけるな!」ということも出て来る。この対立が当時あった訳ですよ。だから要するに浜渦さんをなんとか更迭するという。

高嶋)結果的に浜渦さん辞めましたよね、副知事をね。それでデジャヴで面子も同じような感じだったのですか?

鈴木)だから前川さんも当時は浜渦さんとはあまり良い関係ではなかった訳ですね。

高嶋)でもそれ豊洲は関係無かった訳ですよね?

鈴木)そうです。全般的にね。だけどそういう中で何が生まれるかというと、組織ってそういう風になってしまうと、じゃあもう浜渦さん嫌いな人は浜渦さんには報告しないとか、当時“怪文書”なんて類の物は山ほど出ていたし、例えばお手紙にしても、職員からすると「浜渦さんは怖くて怖くてしょうがないからお手紙を書かなきゃ」という風な感じになる。でも一方で浜渦さんはそれに対して何を言っているかというと「いや自分がいない時はメモを残しておいてくれと俺は言っただけなんだ」と。そうすると書く方はやっぱりちょっと忖度したような文を、つまりそういう中で報告したとかしないとか、浜渦さんがあの人を飛ばしてやっていたとか、でも浜渦さんには報告しない方が良いとか、そういうこのいわゆる豊洲の一連の「言った」「言わない」というのが生まれて来たのではないかと。それが昨日見えてきた。ということは2005年のあの時にそういう風にいろいろ問題になっていた、それが結局背景にあったのだなというのがもう一回明らかになったな、というのが僕の印象ですね。


話が広がるばかりで解明まで行きつかない

高嶋)それを称して“デジャヴ”だとおっしゃる。

鈴木)そうですね。だから新たに豊洲で一体何がどうなったのかということについて言えば、浜渦さんの時代はそうだったかもしれないけども最後の所ですごく沢山のお金を、土地の土壌対策費を東京都が出してしまった、ここの所はどうなのっていう先の所までにまだ行ってない訳ですよね、瑕疵担保責任の所まではね。
だから当時の浜渦さんの圧政を巡る都庁内の権力闘争みたいな、ここまでしかまだ話が行ってない、だけど昨日どうも聴いていると、各会派も「もう都議選もあるし、早く決着をさせたい」ということで、何か形を付けなきゃ。「じゃあ浜渦さんが当時報告したとか受けたとか言っている、ここでちょっと偽証だな」ということで、浜渦さんの偽証罪でケリをつけてしまおう、みたいな。どうもそんな気がする。
だから百条委員会はそもそも何をやるべきだったの? という最後の所まで瑕疵担保の所までやらなきゃいけないのだけど、盛り土の問題もあるじゃないですか。それから建築ね、最後建物を建てる時に談合があったのではないかなんて話もあるじゃないですか。そこまでやって初めて豊洲のこの全容が解明される訳ですからね。

高嶋)その辺が全部有耶無耶になっちゃったのですよね。

鈴木)そこの所をやらないまま、浜渦偽証、つまり2005年のあれをもう一回……。

高嶋)そこで幕引きを図って……。

鈴木)何かそういう空気が今出て来ているという感じですね。

高嶋)それで自民党の都議なんかも知らぬ顔の半兵衛を決め込んで、昔のことはすっかり忘れて、豊洲に移転しろ、みたいな、そういうことですよね。

鈴木)そうです。だからその辺がここで終わって、本当に終わるのですかといったら、それこそここで終わるのだったら何の為に百条委員会をやったのか分からなくなってしまう。

高嶋)何か百条委員会も、それから国会の証人喚問も、何となく結論は有耶無耶で。

鈴木)高嶋さん、そうなのですよ。だから共通点がこの二つにあると思いませんか? つまり、やったと、世論が「是非やれ!」と言うからそれにしょうがないから押されて両方やった、けれどもどんどん話は広がっていくし、いろんなところがあるからどこかで決着を付けなきゃいけない、じゃあどの辺で付ける? っていう、そんな感じに両方とも見えるのですけどね。

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