渡辺美里/My Revolution「教えてくれた」君は一体誰?【10時のグッとストーリー】

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番組スタッフが取材した「聴いて思わずグッとくるGOODな話」を毎週お届けしている【10時のグッとストーリー】

今週は、ヒット曲の様々な謎に迫る『歌謡探偵アキコ』をお送りしていますが、リクエストの多かった渡辺美里さん『My Revolution』の歌詞にまつわるグッとストーリーを、作詞家の川村真澄(かわむら・ますみ)さんに伺いました。

歌詞に出てくる「君が教えてくれた…」の“君”って、誰だったんでしょうか?

1984年、ファッション誌とレコード会社・ソニーが合同で主催した「第3回ミス・セブンティーンコンテスト」。芸能界を目指す17万人が応募する中で、ひときわ異彩を放った女の子がいました。
応募者のほとんどが流行りの歌謡曲を歌う中、EPOの曲を選び、圧倒的な歌唱力を披露。
審査員たちを唸らせ、急きょ設けられた「最優秀歌唱賞」を受賞したのが、渡辺美里さんです。

ロックが大好きで、歌手を目指しボイストレーニングを積んでいた美里さん。このオーディションに応募したのも「きっと誰かが、私の歌を聴いてくれるはず」と思ったからでした。
ソニーと契約を結んだ美里さんは85年、系列会社の「EPICソニー」から、ケニー・ロギンスの日本語カバー『I’m Free』でデビュー。
当時エピックソニーは、佐野元春、大沢誉志幸、ラッツ&スター、大江千里など個性的なアーティストたちを抱え、新しい音楽を創っていこうとしていました。
「ロックが歌える10代の女性ボーカリスト」は、まさに願ってもない人材だったのです。

アイドルと、ロックアーティストの中間的なポジション。今でこそ、そういう女性アーティストは珍しくありませんが、美里さんはその先駆けとも言える存在でした。

デビュー3曲目までは、今一つレコードセールスが伸びなかった美里さん。
そこでレコード会社は、彼女にふさわしい曲を創ろうと、新しい才能に声を掛けました。曲は、当時同じEPICソニーに所属していた「TMネットワーク」の小室哲哉さんに依頼。小室さんが他のアーティストに曲を書くのは、シングル曲ではこれが初めてのことでした。
一方、詞を書いたのは、当時20代の女性作詞家・川村真澄さん。

「当時はまだ、作詞家になって間もない頃だったんですけど、プロデューサーに『なかなか面白い詞を書く』と気に入ってもらえて、美里さんの詞を依頼されたんです」と語る川村さん。
美里さんに逢ったことはありませんでしたが、ライブやレコードを聴いて「この子は一人でも生きていける、強い女の子だな」という印象を持ったそうです。

そのイメージで、小室さんの曲に詞をつけていきましたが、プロデューサーからダメ出しが…
「最初に書いた詞は『サビが弱い』と言われたんです。何かインパクトのある言葉はないか…ということで、プロデューサーが提案したのが『My Revolution』だったんです」

My-Revolution,渡辺美里(w680)

My-Revolution 渡辺美里

「My Revolution = 私の革命」…それって、どういうことなんだろう?
川村さんは自問自答して、その答を歌詞にしました。

「わかり始めたMy Revolution 明日(あした)を乱すことさ」

川村さんは言います。「何かから抜け出したい、殻を割らないと先へ進めない…そんな10代の頃の悩みを思い返して、出て来たのがこのフレーズなんです」

本当に伝えたいメッセージは、サビで簡潔に表現。その他の部分は、聴き手が「あ、わかる」と共感できるフレーズを散りばめるのが、川村さんの作詞スタイルです。

「きっと本当(ほんと)の悲しみなんて 自分ひとりで癒やすものさ」
「笑顔が多いほど 一人の夜がツライね わけあいたい」

86年1月に発売、ドラマの主題歌にもなり、大勢のリスナーの共感を得た『My Revolution』は、じわじわチャートを上昇。発売から8週目、ついにオリコン1位に輝きました。
美里さんの代表曲になり、川村さん、小室さんにとっても、作詞家・作曲家として初めてのビッグヒットになったこの曲。最後に、川村さんへ、こんな質問をぶつけてみました。

「夢を追いかけるなら たやすく泣いちゃダメさ
“君”が教えてくれた My Fears My Dreams 走り出せる」

「この“君”って、誰のことですか?」 川村さんの答は…「実は、佐野元春さんなんです」
もともと川村さんは、佐野さんの大ファン。そして『My Revolution』の担当プロデューサーは、佐野さんの才能を発掘し、エピックからメジャーデビューさせた人でした。

someday(w680)

someday 佐野元春

曲を書く前の打ち合わせで、川村さんは、プロデューサーにこう言われたそうです。
「元春から受け継いだメッセージを次の世代に伝えていく。そんなイメージなんだよね…」
美里さんが衝撃を受けたという、英語のような歌詞の乗せ方、クールな世界観、無駄のない言葉選び…川村さんに「革命」の方法を教えてくれたのは、佐野元春さんだったのです。

八木亜希子,LOVE&MELODY

番組情報

LOVE & MELODY

毎週土曜日 8:30~10:50

番組HP

あなたのリクエスト曲にお応えする2時間20分の生放送!
今、聴きたい曲を書いて送ってくださいね。

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