6/23(金)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!④
イラク「モスル奪還作戦」数日で完了「イスラム国」の象徴爆破
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター宮家邦彦(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・外交評論家)
対テロ部隊司令官「数日以内でIS排除が完了する」過激派組織「IS―イスラム国」が立て籠るイラク北部のモスルへの掃討作戦について、対テロ部隊の司令官は「数日以内に作戦が完了する」という見通しを示しました。また司令官は旧市街に残るイスラム国の戦闘員を「生死を問わず排除する」と強調しました。
過激派組織「IS―イスラム国」はその前身の組織が3年前、2014年の6月にこのイラク北部のモスルを占拠しまして、本拠地のシリア北部ラッカと並ぶ重要拠点としてきました。
アメリカの支援を受けたイラク政府は、去年の10月にモスルの奪還、それからIS駆逐を目指す軍事作戦に着手していました。アメリカ軍の特殊部隊がイラク部隊に助言を与えてアメリカ軍は空爆でも支援をしていました。
イラク側はイラク軍、警察そしてイスラム教シーア派の民兵組織などが参加していますが、対テロ部隊が主力となっています。その対テロ部隊の司令官が数日以内でIS排除が完了するという見通しを示しました。
これに対しISの方はモスル旧市街の中心にある象徴的な礼拝所「ヌーリ・モスク」を爆破しました。イラクの対テロ部隊の司令官は「部隊がモスクまでわずか数メートルまで肉薄したので、ISは防衛を断念して爆破を決断したのだと推測しています。このモスクはIS指導者のバグダディ容疑者が3年前の7月に国家樹立を宣言した象徴的な場所です。ISの方は「アメリカ軍が空爆でこのモスクを破壊した」と非難をしています。
ISが立て籠っているのはこのモスクを中心とする旧市街のおよそ4平方キロメートルで、この中に700人程の戦闘員が残って地雷や仕掛け爆弾(IED)、スナイパーによる銃撃、そして自爆といったことが主な戦術として展開されています。この範囲の中には最大10万人の民間人が取り残されておりまして、市民は逃れようとすると撃ち殺されると、”人間の盾“というような状態になっているのですね。
モスルを奪還しても“第1ラウンド”が終わっただけ高嶋)これを宮家さんはどのように分析されますか?
宮家)ISというのは今までと違って単なるテロリストではなく、領域の支配があるということで注目されました。これでいずれ落ちるだろうモスル、そしてシリアにはラッカ等の地域をまだ持っていますけど、ISの領域支配が仮に無くなったとしてもテロリストを辞めるわけではありません。テロリストの側面は続くので。
3年前にはイラク軍が完全にガタガタになっちゃってモスルが取られてしまったのですが、これでモスルが仮に解放されてもイスラム国の本当に悪い奴らはもうとっくにモスルからは出ていて、そしてフィリピンとか世界中に広がっているわけですよ。高嶋)簡単に言うと戦争が終わったというわけではない?
宮家)違います。第1ラウンドが終わっただけです。
奪還後のモスルは正規軍・シーア派・クルド兵の3分割高嶋)“イラク軍”って新聞等では表現されていますけども、そんなにまとまった軍隊なのですか?
宮家)まとまっているのだったらそもそも2014年にモスルなんか失いませんよ。
今はどうやって頑張っているのかというと、クルド兵とイランが支援しているシーア派、これらと正規軍が一緒にやっているのです。だから仮にモスルを取り返しても、今度はシーア派の連中が入って来る、それからクルド兵も入って来る、それに正規軍でしょう。今度は3分割ですよ。高嶋)玉虫色みたいな軍隊が、とりあえず今ISをやっつけるということにおいては目標一致でやったけども、その後が大変だと。
宮家)もう街は滅茶苦茶でしょう。それで人々はどこにいるか分からないでしょう。だけどシーア派の連中もクルドの連中も当然そこに居座りますよ。どうするのですか。
高嶋)今日の新聞によると「モスルに最盛期6000人いたISの戦闘員が現在300人程度に減ったとみられる」と書いてあって、彼らはどこかに雲散霧消しつつ、形・姿を変えながらどこかでやっていくということですか?
宮家)世界中にもう逃げていると思いますね。
高嶋)むしろ戦闘地域以外のところが危険に陥るということなのですか?
宮家)そういうことですね。先程も申し上げたように、領域支配が無くなってもテロリストの本質は変わりませんから、後は場所を転移していくということですよね。
高嶋)なるほど。シリアはあのアサドさんというのはしぶといですね。
宮家)しぶといけど、それはロシアが支援してくれていますから、頑張りますよ彼だって。
高嶋)命懸けですね。本当に国民、市民が一番大変なのですけども、状況はいつ収まるのでしょうか。