出水駅「かしわめし」(1,000円)~のぞみ最速4時間46分の旅【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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N700系「のぞみ」

東京~九州の移動で「新幹線」を選ぶ人の割合は、ここ20年だいたい7~8%。
新幹線と飛行機の比較ではしばしば「4時間の壁」という言葉が一人歩きしますが、私が思うに『壁は自分の心が決める』…過ごし方の工夫で、如何様にも変化するものではないでしょうか。
23区北西部に住んでいる私の場合、博多まで新幹線では、飛行機+2時間といったところ。
しかし、移動時間に「ひと仕事」することを考えると、新幹線では4時間以上作業できますが、飛行機では安定飛行中の1時間弱しか作業が出来ません。
移動時間を『自分自身と向き合う時間』にすることも出来るのが、新幹線の素晴らしさ。
2時間のプラスで、2時間以上の充実感を得られる可能性を秘めているのです。
(参考:JR西日本ホームページ)

N700A「のぞみ64号」

毎時ほぼ2本運行される東京~博多間の「のぞみ」の中でも、最速を誇るのが「のぞみ64号」。
博多を18:59に発ち、小倉・広島・岡山・新神戸・新大阪・京都・名古屋・新横浜・品川に停車して、終点・東京には23:45に到着する上り「のぞみ」の最終列車です。
所要時間は、過去最速の「4時間46分」。
昭和50(1975)年の博多開業時、東京~博多間の「ひかり」の所要時間は、6時間56分でした。
昭和61(1986)年に5時間57分、平成9(1997)年には4時間49分と時間短縮してきました。
そして今年春、山陽新幹線の改良によって、ついに「4時間46分」を実現。

この間、停車駅は品川、新横浜、新神戸と3駅増えたのに、最高時速を300km/hにアップしたり、新型車両を開発するなど、血の滲むような努力が続けられてきました。
40年にわたる鉄道マンの努力の結晶が、「2時間10分」という短縮時間。
この努力に思いを馳せれば、乗るだけでも思わずウルッとなりそうな「のぞみ64号」なのです。

かしわめし

食堂車なき今、東京~博多間の新幹線は、最も「駅弁」を楽しみやすい列車かと思います。
元々、駅弁は移動時間の長さが生んだ「鉄道文化」。
所要時間が短くなっても「駅弁」があるのは、駅弁屋さんが様々な努力をしているからです。
販路の拡大も、その1つ。
今回は、鹿児島・出水を拠点に駅弁を手掛ける「松栄軒」が、博多などでの販売を視野に入れて調製している駅弁「かしわめし」(1,000円)をご紹介しましょう。

かしわめし

紫色の掛け紙を外すと、鶏の照焼きが真ん中に載った「かしわめし」が現れました。
おかずには「鶏のから揚げ」も入って鶏づくしの構成となっており、北九州エリアでは一般的な“そぼろ”風の「かしわめし」駅弁とは一線を画しています。
九州では鶏肉のことを「かしわ」と呼び、鶏ごはんのことを「かしわめし」と呼ぶことも、旅行者には新鮮ですが、その「かしわめし」にもイロイロな形があるということを教えてくれる駅弁です。

かしわめし

照焼きに「松栄軒」自慢の煮物・笹がきごぼうなどが入って、いいアクセントとなっています。
東京駅の「駅弁屋 祭」に置いてあることも多いので、首都圏の方も出会いやすいかも。
夏休みなどの繁忙期は、直前に出発が決まった場合、飛行機では3万円以上。
でも、新幹線なら3日前まで19,850円(EX-IC、IC早得利用)で東京~博多間を移動できます。
その意味では、夏こそ「新幹線の季節」。
今年の夏は鉄道マンたちの努力と鉄道文化に思いを馳せながら、移りゆく景色と共に東京~博多間を新幹線に乗って、贅沢な時間を過ごしてみてはいかがでしょうか?

(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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