【ライター望月の駅弁膝栗毛】
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107系電車、両毛線・桐生駅
大阪では国鉄時代からの103系電車の引退が話題になりましたが、この週末(10/7)、北関東では一つの車両がJR線からの引退を迎えます。
その名は、JR東日本の「107系」。
JR東日本が発足後初めての自社製造車両として、大宮・大船・新津などの各工場で作った車両で、北関東を中心に活躍してきました。
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107系電車
ドア周りには、特製のシンボルマークが作られ、この車両が愛されていた様子が伺えます。
ただJRになって30年、大阪の電車は半世紀近く走ったのに、少し早すぎるのでは・・・と思われるかもしれませんが、実はこの電車、かつて群馬県内を走っていた2ドアの急行形車両・165系電車の部品を有効活用して作られた車両なんです。
つまり、一部の部品は、思いのほか老朽化が進んでいてもおかしくないという訳なんですね。
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107系電車、両毛線・桐生駅
見た目でもよくわかるのが、一部の車両にある屋根の上にポコポコ並んだ冷房装置。
コレは昔の急行電車の雰囲気をよく残しています。
それ以上に、107系電車は「音」が楽しめた電車でした。
目を閉じて乗れば、ゆっくりとした加速、上品なモーターの音に加えて、重厚な走り・・・。
まさに昔の急行電車そのもの!目を閉じるだけでタイムトリップが楽しめた電車なのです。
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ぐんまの郷
107系電車は誕生以来、群馬・栃木を中心とした北関東で活躍しました。
特に群馬県では、信越本線・両毛線・上越線・吾妻線と県内の在来線を隈なく走り回って、30年近くにわたって、地道に通勤・通学の足となってきました。
そんな107系電車の活躍したエリアを思い浮かべていただきたい駅弁が、高崎駅にありました。
高崎の駅弁を手掛ける「高崎弁当」の「ぐんまの郷」(1,200円)です。
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ぐんまの郷
【お品書き】
一、ギンヒカリの幽庵焼き
二、赤城鶏ハーブチキンのマリネ
三、群馬県産牛のすきやき風
四、南瓜の豚そぼろあんかけカレー風味
五、茄子とズッキーニの揚げ田楽
六、キャベツのピクルス
七、梅ご飯
八、舞茸ご飯
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ぐんまの郷
メインの魚「ギンヒカリ」は、群馬が生んだ最高級ニジマスのブランド。
群馬ゆかりの鶏、牛、豚、それぞれの肉を使いながら、野菜もたっぷりの構成です。
特に野菜は、マリネや揚げ田楽などひと手間かけたものになっています。
ご飯も味付けご飯、白いご飯が少しずつ楽しめて飽きない作り。
見た目は普通でも、中味が実はハイグレードという“107系の郷・ぐんま”らしい駅弁です。
107系電車は既に定期運行が終了し、残るは臨時の団体列車のみとなっています。
最後まで安全に、JR線での活躍を終えてほしいものです。
連載情報
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ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/