【ライター望月の駅弁膝栗毛】
雪を身にまとって、西日を浴びながら豊平川を渡って来るのは、旭川からの特急「ライラック」。
かつて夜行列車で北海道へ足を運んでいた時は、豊平川を渡ると「あゝ、札幌に来たなぁ」という気持ちになったものです。
「ライラック」の愛称は今年10年ぶりに札幌~旭川間のグリーン車付の特急として復活しました。
青函特急で活躍したライトグリーンの789系が転属、道央の看板列車の役割を担っています。
函館本線・苗穂駅周辺は、北海道随一ともいわれる鉄分の濃いスポット。
苗穂には、昔から苗穂機関区(現・苗穂運転所)、JR北海道の苗穂工場があります。
また、函館本線の列車に加え、千歳線の列車も走るため、北海道では貴重な複々線を形成。
時間帯によっては、函館本線と千歳線の列車が並走することもあります。
今回は、北海道の鉄道に詳しい方にご紹介いただき、苗穂の新しい撮影ポイントに伺いました。
お邪魔したのは、豊平川の河畔からも近い特別養護老人ホームの「ラスール苗穂」。
平成27(2015)年に出来たコチラの福祉施設では、事前に連絡(電話:011-206-7677)しておけば、毎日10時~17時の間、屋上を無料で開放してくれます。
数分おきに列車が来る場所でありながら、安全に撮影が出来るのは、とても有難いこと。
入所されている皆さんにとっても、外のお客さんと交流の機会があることは、いい刺激になるので、施設としても、列車撮影の皆さんはウェルカムなんだそうです。
特急「ライラック」の789系電車も、上から見ると、また違った雰囲気。
線路は、手前から函館本線上り(札幌・小樽方面)、千歳線下り(札幌方面)、千歳線上り(新千歳空港・苫小牧方面)、函館本線下り(岩見沢・旭川方面)となっています。
札幌近郊は長くても6~7両編成なので、気軽にそこそこの写真が撮れちゃうのも嬉しいところ。
最近は地元メディアなどでも取り上げられ、臨時列車が走る時はいらっしゃる方も多いそうです。
札幌を発車してきたばかりの列車を狙うことも出来ます。
手前から3本目の線路を加速しながらやって来たのは、キハ281系気動車による、札幌14:45発、千歳線・室蘭本線経由の特急「スーパー北斗16号」。
札幌郊外の山並みをバックに、列車が走ってくるのもいいですよね。
余談ですがこの列車、新函館北斗で北海道新幹線上り東京行最終列車「はやぶさ38号」に接続、当日中に、鉄道だけで東京まで帰ることが出来る“終列車”(東京23:04着)でもあります。
さて、札幌駅にも、今年8月から少し“鉄分濃いめ”の駅弁が登場しています。
その名も「うに発いくら行」(1,100円)。
スリープ式の包装は、昔ながらのサボ(列車行先札)をイメージしたものでしょうか。
よくサボの片隅に書かれていた札幌駅所有を示す「○に札」というマークも入っていますね。
調製元は、もちろん札幌駅弁を手掛ける「札幌駅立売商会(弁菜亭)」です。
・蒸しうに
・焼きうに
・昆布茶飯(北海道産米使用)
・錦糸玉子
・漬物
目下、札幌駅では唯一の「うに」メイン駅弁なんだそう。
うにはキタムラサキウニを使用、蒸しうにだけでなく、「焼きうに」も食べられるのが特徴です。
この「焼きうに」の焦げ目がいいアクセントになっていて、たっぷりのうにでも飽きません。
しかも、しぐれ昆布や昆布の炊き込みご飯との相性がよく、箸がどんどん進みます。
「うに発いくら行」だけに、「うに⇒いくら」の順でいただくのが推奨ですが、勿論、順番はお好みで。
個人的には、濃いめのうに、あっさりめのいくら(醤油漬)の間を、いつまでも行ったり来たりしながら、食べ続けていたくなりました。
そんな気分でいただくと、「サボ」風の包装が、中味と良くマッチしてくるんですよね!
次回も、札幌近郊の気軽に鉄道写真が撮れちゃうスポットをご紹介します。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/