【ライター望月の駅弁膝栗毛】
早いもので平成29(2017)年も残すところあと1か月。
今年は、意外に「鉄道のメモリアル」は多い年だったような気がします。
JRは30周年、地下鉄は90周年、そして日本を代表するローカル線「飯田線」は、昭和12(1937)年8月20日の開業から「80周年」を迎えました。
現在の主力は、東海エリアではおなじみの313系電車が活躍しています。
313系電車と共に飯田線で活躍するのが、2ドアの213系電車です。
飯田線は豊川鉄道、鳳来寺鉄道、三信鉄道、伊那電気鉄道の4私鉄が統合、国有化され誕生。
愛知・静岡・長野の3県を通り、東海道本線の豊橋(愛知県)と中央本線の辰野(長野県)の間、195kmあまりを天竜川に沿うように結んでいます。
ちょうど天竜川の長さが213kmですので、実は213系電車が、飯田線には最も似合うのかも!?
飯田線の旅の楽しみは、何と言っても風光明媚な車窓です。
南部では川底まで見える板敷渓谷、中部は天竜川のダム湖が生み出す秘境感たっぷりの景色、そして北部ではアルプスの山並みが、車窓の友となります。
かつては旧型国電が走り、その後は飯田線オリジナル車両の119系電車が長年にわたって活躍してきましたが、現在は313系と213系、これに特急「伊那路」の373系電車などが加わります。
そんな飯田線の開業80周年を記念して販売された駅弁が、「吉田伝説」(980円)。
2年ほど前、豊橋駅の駅ナカがリニューアルされた際に私も買い求めたことがあった駅弁ですが、その後、しばらく販売をお休みしていて、この飯田線80周年に合わせて再び登場となったそう。
掛け紙にも、「飯田線80周年」の記念ロゴが入っていますね。
調製元は、豊橋駅弁を手掛ける「壺屋弁当部」です。
「吉田」とは、江戸時代の東海道の宿場「吉田宿」に由来するもの。
掛け紙には、今から90年前、昭和2(1927)年頃の「吉田駅」の白黒写真が使われています。
国鉄が「豊橋駅」だったのに対し、飯田線の前身・豊川鉄道は「吉田駅」を名乗っていました。
国有化に当たって、両駅が統合され「豊橋駅」になったといいます。
そんな昔の豊橋駅舎の掛け紙を外すと、ボリュームたっぷりの幕の内駅弁が登場しました。
豊橋の名物駅弁「稲荷寿し」も、ちょこっと入っているのが嬉しいですね!
【お品書き】
・白飯
・稲荷寿し
・鰆西京焼き
・メヒカリ唐揚げ
・海老天ぷら
・鶏ササミ竜田揚げ
・しそ団子串
・しそはんぺん
・玉子焼き
・鶉玉子燻製
・漬物
飯田線は、元が私鉄だけに駅間が短く、200km弱の区間に100近い駅があります。
列車も少し走るとすぐ停まるを繰り返し、全線を直通する普通列車は6時間以上を要します。
日中の乗りやすい全線直通列車は、下りは豊橋10:42発の519M・普通岡谷行(岡谷着17:31)。
上りは上諏訪9:19発の544M・普通豊橋行(豊橋着16:16)がのんびり7時間旅を楽しめます。
現在、途中に駅弁販売駅はありませんので、下りの場合、豊橋駅での駅弁の調達が必須!
定番の稲荷寿しはもちろん、幕の内系のボリュームある駅弁もあると安心でしょう。
間もなく冬の青春18きっぷシーズン、飯田線80周年イヤーの締めくくりにお薦めです。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/