松岡茉優の魅力にハートがふるえます『勝手にふるえてろ』
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【しゃベルシネマ by 八雲ふみね・第330回】
さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回は、12月23日から公開となる『勝手にふるえてろ』を掘り起こします。
綿矢りさの妄想全開ラブストーリー、ついに完全映画化!
OLのヨシカは絶滅した動物をこよなく愛する24歳。10年もの間、中学時代の同級生イチに片思いしていて、イチとの過去を思い出しては心ときめかせていた。これまでずっと彼氏がいなかったヨシカだったが、突然、会社の同期・二から告白される。「人生で初めて告られた!」とテンションが上がるも、二との関係にいまいち乗り切れず。
そこで現在のイチに会おうと思い立ち、同窓会を計画。憧れの人との再会の日が訪れるが…。
「私には彼氏が2人いる」。そう言われると、何やらタダゴトならぬ気配が漂いますが、本作は“脳内彼氏”と“リアルな恋愛”の同時進行に悩む“恋愛オンチ”な女子のお話。芥川賞作家・綿矢りさの真骨頂とも呼べる、妄想力爆発の同名恋愛小説が待望の映画化となりました。
本作は第30回東京国際映画祭のコンペティション部門に出品され、観客賞を受賞。観客賞とはプロの審査員ではなく、一般の観客の投票によって決められる賞。文字通り、映画ファンが「素直に楽しめた」作品なのです。
ヨシカを演じるのは、これが初主演となる松岡茉優。恋愛経験がないゆえ2つの恋に悩み暴走する様を、パワフル&キュートに演じています。
そんなヨシカの“リアル恋愛”の彼氏には黒猫チェルシーの渡辺大知、“脳内片想い”の彼氏には人気急上昇中の若手俳優 北村匠海。
メガホンを取ったのは、現代女性のリアルを優しい視点で描き出してきた大九明子監督。本作でも不器用すぎるヨシカの恋模様と人としての成長を、ユーモアと温かさを交えて紡いでいます。
本作のいちばんの成功要因は、やはり松岡茉優の存在感。ともすれば“ウザイ女の子”にもなりそうなエキセントリックなキャラクターなのに、観るうちに「ヨシカがんばれっ!!」と応援したくなってしまうのは、彼女の演技力と可愛らしさによるところが大きいでしょう。
初主演にしてハマり役に出会えた彼女、これからの活躍も期待大ですね。
勝手にふるえてろ
2017年12月23日からヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル池袋ほか全国ロードショー
監督・脚本:大九明子
原作:綿矢りさ(文藝春秋刊)
出演:松岡茉優、渡辺大知、北村匠海、石橋杏奈、古舘寛治、片桐はいり ほか
©2017映画「勝手にふるえてろ」製作委員会
公式サイト http://furuetero-movie.com/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/