【ライター望月の駅弁膝栗毛】
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733系電車・快速「エアポート」、函館本線・白石~苗穂間
豊平川を渡って、札幌駅へひた走る快速「エアポート」。
毎時4本の列車のうち2本は、そのまま小樽まで直通運行されています。
札幌からは琴似、手稲、小樽築港、南小樽に停車し、小樽までは概ね32分。
小樽までは、札幌宿泊ならホテルにチェックインしてから気楽に出かけられる距離。
空港~札幌~小樽間の列車や小樽周辺のバスは、交通系ICカードも勿論OKです。
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小樽駅
11月末、夕方5時前の小樽駅は、ライトアップされ、すっかり夜景モードでした。
小樽駅舎は、昭和9(1934)年築の北海道では最古とされる鉄骨鉄筋コンクリート造り。
平成18(2006)年には、東京の上野駅などと同様に近代的駅舎であることが評価され、国の登録有形文化財となりました。
5年前の平成24(2012)年にはリニューアル工事が完成し、駅ナカのお店も増えました。
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小樽運河
せっかくこの時間に小樽にやって来たなら、「小樽運河」へぶらぶらと・・・。
沢山の方が歩いてアイスバーン気味の下り坂を、足元に注意してそろりそろり歩いていくと、期待通り、ライトアップされた幻想的な空間が広がりました。
緩やかな曲線美が目を引きますが、これは小樽運河が、海岸の沖合いを埋立てて造られたことによるものなんだそうです。
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海の輝き
この夜景をSNSにアップして「いいね!」をいっぱいもらうのもいいですが、より一層、記憶に残すなら、小樽駅で駅弁を買い求めてみてはいかがでしょうか?
その駅弁の名は、「海の輝き」(1,580円)。
12年ほど前から販売されており、数ある小樽駅弁の中でも随一の人気を誇る駅弁です。
小樽の駅弁を手掛ける大正6(1917)年創業の「小樽駅構内立売商会」が製造しています。
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海の輝き
「海のお花畑」をイメージしたという華やかな盛り付けに圧倒されます。
特に随所に盛り付けられたいくらのキラキラ感が印象的。
2種類の“黄色”は、贅沢に使われたうにと玉子焼きです。
いくらの醤油漬・蒸しうにの塩っ気と、甘めに焼き上げられた玉子焼きの味のハーモニーが、いい食感で、一度食べだすと止まらなくなる駅弁です。
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海の輝き
たっぷりの贅沢な具材の下にある寿司飯と一緒にいただいていくと、プチプチと口の中で弾けて、“小さな輝き”を放つのがシシャモの卵。
見た目のキラキラ感だけでなく、食べた瞬間のプチプチ感も面白い感じです。
“見えないところもしっかり作る”ところに、駅弁屋さんのこだわりが感じられますよね。
口の中にとろ~んと広がるまったりした食感と共に、存分に北海道気分を味わいましょう!
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721系電車・快速「エアポート」、千歳線・上野幌~北広島間
実は2年ほど前に小樽を訪れた時、「海の輝き」は、うにの高騰で製造を休止していました。
半年ほどお休みを強いられた後、価格を1,260円から1,580円として復活を果たしました。
小樽の思い出をより印象深くしてくれる、運河のきらめきに勝るとも劣らない華やかな駅弁。
快速「エアポート」の指定席・uシートは「A席」で押さえておけば、小樽~札幌間で石狩湾越しに増毛の山々を眺めながら駅弁タイムを楽しむことが出来ますよ!
連載情報
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ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/