【ライター望月の駅弁膝栗毛】
「SL冬の湿原号」のおよそ5分後、凍てつく釧路川の鉄橋を渡っていくキハ54形気動車は、根室本線の釧路以遠、いわゆる「花咲線」を走る快速「ノサップ」号。
札幌発朝一番の特急「スーパーおおぞら1号」から乗り継ぎのお客さんを乗せて、本土最東端の街を目指します。
根室まではおよそ2時間10分ですので、釧路では出来れば駅弁を調達したいところです。
今まで釧路駅では、特急の発着時に1番ホームで台車を使って駅弁を販売していましたが、現在は改札を出た正面にあるキヨスク(北海道四季彩館)がメインの売場となりました。
「スーパーおおぞら1号」と「ノサップ」の乗り継ぎ時間は、ダイヤ通りなら12分。
駅弁が欲しい時は、有人改札の駅員さんにその旨を伝えてキヨスクへ足を運べばOKです。
旅慣れた方なら、まず「ノサップ」の座席を確保して、買い物に行きますよね。
釧路駅弁を手掛ける「釧祥館」は、去年(2017年)12月からこれまでの改札内売店に代わって、鉄道利用者以外も立ち寄り可能な、改札外の「そば店」としてリニューアルしました。
営業時間は9:00~15:00で、店内には椅子もあり、座っていただくことも出来ます。
もちろん、コチラのお店でも「釧祥館」の駅弁を販売していて、予約の受け取りも可能。
実はココの厨房で駅弁も作っているそうで、駅には出来たての駅弁が並んでいるんですね。
去年~今年のキヨスクの販売状況、そして今回のそば店に置かれている駅弁のメニュー表を見る限り、釧路駅で通常販売されている釧祥館の駅弁は「たらば寿し」「釧路漁礁」「かに飯」「かきべん」「釧路湿原弁当」の5種類。
11時の特急前後で完売する傾向が強く、その後、幕の内の「釧路湿原弁当」と「かきべん」、そして、この「かに飯」が少数補充される傾向があるように見受けられました。
ちょっぴり幸せを感じる黄色い綴じ紐をほどいて、黄色い掛け紙を外して、ふたを開ければ、カニの香ばしい香り。
北海道では定番、カニと竹の子を炒って炊き上げる“駅弁のかにめし”が現れました。
今回はそば店に時間を告げて予約したこともあり、出来たてをご用意いただいた様子。
ほんのり温もりを感じる駅弁の折詰を手にした時って、何だか嬉しくなるんですよね。
華やかな彩りが、旅気分を盛り上げます。
改めていただけば、カニのフワッとした食感が心地よく、錦糸玉子とのバランスも良好。
釧路のレギュラー駅弁では、唯一3ケタの価格帯なので、ほんの少しお得感もあります。
私が訪れた日、キヨスクに補充される様子を見ていますと、「かに飯」の個数は少なめでした。
特に昼過ぎに入手したい場合は予約がお薦めです。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/