番組スタッフが取材した「聴いて思わずグッとくるGOODな話」を毎週お届けしている【10時のグッとストーリー】
いよいよ開幕した平昌オリンピック。「スマイルジャパン」こと、女子アイスホッケー日本代表はきょう初戦を迎えますが、今回は、競技と仕事を両立させながら、代表を笑顔で支える選手のグッとストーリーをご紹介します。
ソチ大会に続き、2大会連続でオリンピック出場を決めた、「スマイルジャパン」こと、女子アイスホッケー日本代表。別名「氷上の格闘技」と呼ばれる激しい競技ですが、身長162センチの小柄な体格で、体を張って海外の大柄な選手たちと渡り合い、得点のチャンスを作り出しているのが、フォワードの中村亜実(なかむら・あみ)選手・30歳です。
「敵のゴールキーパーの前に立ちはだかって視界をさえぎり、“潰れ役”になってシュートコースを作るのが、私の仕事なんです」と頼もしい中村選手。リンクを離れると、横浜の「アンパンマンこどもミュージアム」内にあるアパレルショップ「アンパンマンキッズコレクション」の店員さんに“変身”。「ドキンちゃんのお洋服はこちらですよ〜」と、ニコニコ笑顔で、子どもたちを優しく案内します。
日本代表でも、笑顔でチームを盛り上げ、まさにスマイルジャパンの象徴でもある中村選手は、アイスホッケーが盛んなことで知られる、青森県八戸市出身。小学2年生のときに競技を始め、その数年後に行われた長野オリンピックから、女子アイスホッケーが正式種目になりました。
「私もオリンピックに出たい!」と決意した中村選手は、中学3年生のとき、両親を説得して、単身上京。日本代表の選手も数多く在籍する女子の強豪クラブに入団し、腕を磨きました。そのかたわら、大学に進んで資格を取り、もう一つの夢だった幼稚園の先生になりましたが、担任になると忙しく、練習時間が思うように取れないという悩みが。また、遠征のたびに幼稚園を空けるわけにもいかず、悩んだ末に退職。串焼き屋さんで契約社員として働き、競技を続けましたが、収入は大幅に減り、一時は無職になって、家賃が払えなくなったことも……。
そんなとき、JOCによるアスリートの就職あっせん事業を使って見つけたのが、現在の仕事でした。逆境に負けない明るさと元気を買われ「アンパンマンにぴったりだね」と採用された中村選手。2013年9月から、アンパンマンキッズコレクションを直営するバンダイに入社し、競技優先で勤務。遠征のときは仕事扱いになり、それ以外のときは、ショップの店頭に出て働きます。「私をお母さんと間違って抱きついてくる子もいて、本当に癒やされます」という中村選手。競技に打ち込める環境を得て、前回のソチオリンピックで代表の座をつかみ、長年の夢を叶えました。
しかし、8年前のバンクーバー大会のときは、猛練習を積んだにもかかわらず、最終予選の直前に代表メンバーから外されるという、つらい経験もしています。
「あの頃は、ボーダーラインの選手だったので、失敗を恐れてプレーが萎縮していました」
という中村選手。考えが変わったきっかけは、バンクーバーオリンピックの金メダリストで、日本代表の強化コーチに招かれた、元カナダ代表、カーラー・マクラウンさんの一言でした。「アイスホッケーを楽しむのよ!」……この一言に、目からうろこが落ちたという中村選手。
それからは「たとえ苦しい試合展開でも、笑顔を忘れず、前向きに戦おう」と思うようになりました。公募で寄せられた「スマイルジャパン」という女子代表の愛称を「私たちにぴったりだね」と選んだのは選手たち自身ですが、笑顔の輪の中心には、いつも中村選手がいます。去年、故障で一時戦列を離れましたが、暮れに行われたロシア代表との壮行試合で復帰すると、持ち前の、前線での体を張ったプレーで、勝利に貢献しました。試合後、後輩の選手たちから、「やっぱり、亜実さんの笑顔がないと」と言われたのが、何より嬉しかったという中村選手。
「自分がチームのために何ができるかを考え、自分にしかできないことを見つけたことで、私はオリンピック代表になることができました。平昌でも、笑顔を忘れず、前を向いて戦いますので、スマイルジャパンを応援、よろしくお願いします!」
【10時のグッとストーリー】
八木亜希子 LOVE&MELODY 2018年2月10日(土) より
番組情報
あなたのリクエスト曲にお応えする2時間20分の生放送!
今、聴きたい曲を書いて送ってくださいね。