日本市場に熱い視線?…AI最新事情を見る

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【報道部畑中デスクの独り言】

AI 人工知能EXPO 入場 業界関係者

入場を待ちわびる業界関係者

今週、臨海副都心の東京ビッグサイトで「AI・人工知能EXPO」という展示会が開かれ、私も足を運びました。以前「自動運転EXPO」という展示会についてお伝えしましたが、今回も主催者と場所は同じ。業界関係者を対象にした商談会です。

自動運転EXPOの時も感じましたが、とにかく「画像認識技術」の進歩を肌で感じる展示会でした。ディスプレイには会場の往来が映し出され、人間の姿が四角で囲われる=人間を認識する…そんなブースが目立ちました。その効果をわかりやすく見せるための工夫も見られました。

AI 人工知能EXPO 顔 魅力度 採点 画面 赤 点数 顔面 偏差値

顔の「魅力度採点」画面に赤く点数が表示される

「人間の魅力度を点数化する」

センスタイムジャパンという会社のブースには巨大なタブレット画面が。その前に立って自分の顔を映すと、性別はもちろんのこと、年齢や「顔値」=顔の魅力度も数値化してしまうという、恐るべきシステムがありました。女優やタレントなどの顔から「魅力的な顔」を認識させ、それを基に点数化しているそうです。私も体験してみましたが、顔値は71点、年齢は51歳…ドンピシャでした。関係者によると、笑顔になったり、女性は美しくメイクをしたりすると点数が上がるとか…ただ、私の場合は笑っても点数はあまり変わらず、記者の笑顔なんてそんなものか…ちなみにこの会社、香港に本拠を持つ会社の日本法人で、社長も中国人です。

AI 人工知能EXPO 顔 魅力度 採点 表情 顔面偏差値

顔の「魅力度採点」表情を変えるも①

AI 人工知能EXPO 顔 魅力度 採点 表情 顔面偏差値

顔の「魅力度採点」表情を変えるも②

AI 人工知能EXPO 顔 魅力度 採点 表情 顔面偏差値

顔の「魅力度採点」表情を変えるも③

「最初はグー、ジャンケンポン! 勝ったくりー」

日立ソリューションズ・クリエイトのブースではパソコンディスプレイに栗をモチーフにしたマスコットの絵が…「僕とジャンケンしよう」と言う…いわば「AIとのじゃんけん」です。これが何回やっても勝てない…担当者によると、これまた画像認識技術の応用です。人間が出したグー・チョキ・パーの手の画像を判断し、瞬時に勝てる手を出すのだそうです。厳密には「後出しジャンケン」なのですが、本当にわずかな遅れで、ほぼ同時に出しているように見えます。

これらのシステムはいずれも画像認識技術をエンターテインメントに振ったものですが、もちろん様々な分野への応用が期待されます。「魅力度点数化」は結婚紹介サービスやマンション入室時の顔認証システムへの活用が、「AIじゃんけん」もビル入館の顔認識のほか、製造ラインを通る部品の傷や汚れを判定する用途が考えられるということです。顔認識だけでなく、骨格認識の研究も進めば、例えばマスクをしたり、変装していても人物を特定できるようになるそうです。そして、もちろん自動運転技術にも…「究極の目標」と話すセンスタイムジャパンの社長は「現時点では完成まで50%ぐらい。最後の最後はまだまだ険しい」としながらも、自動運転の実現に強い意欲を見せました。

人工知能EXPO AI じゃんけん

勝てない! AIとじゃんけん

この展示会、今回で2回目だそうですが、注目の分野だけあって規模は前回の3倍。国内外から約300社が参加しました。中には中国・韓国・台湾といった新興国、中東・イスラエルに関連する業者からの出展もありました。ちなみにイスラエルは世界的にも「IT先進国」として知られます。自動車の自動ブレーキに欠かせないカメラシステムなど高い画像認識技術を持ち、日本国内の自動車メーカーでも採用されています。中東の紛争地域に囲まれる中、サイバー攻撃から守るためにIT技術が発達したというイスラエル、地政学的な事情が新たな産業を育てたわけです。

関連業者は日本企業への技術の売り込みに期待感を示します。日本市場はよく「ガラパゴス」と言われますが、どっこいAIの分野に関しては、新興国、ベンチャー企業が日本に熱い視線を注いでいると感じます。日本側も自動車メーカーを中心に海外企業との積極的な連携を図っていて、これまでの産業構造とは明らかに違う景色が展開されつつあります。

AI 人工知能EXPO 画像認識技術

画像認識技術をアピールするブースが目立つ

一方で、日本はいわゆる「すり合わせ」=部品や材料を、相互にきめ細かく調整を行って、本来の性能を引き出すことがお家芸でもあります。以前、自動運転の項でもお伝えしましたが、画像認識技術一つとっても性能を高めるには4K,8Kなどカメラの解像度を上げる、精度が上がれば情報量も増え、高性能な処理装置が必要、装置の高熱化にも対応しなくてはならない、さらにより高速な伝送経路、ケーブルの性能向上も求められる…まさに「総合力」が要求されるわけで、そこで日本の強みである「すり合わせ技術」が発揮されるのかどうか…新興国の注目も実はそのあたりにあるのかもしれません。

AI 人工知能EXPO 議事録作成支援システム

私も欲しい! 議事録作成支援システム

最後にこんなブースもご紹介しましょう…出展は画像認識技術だけではありません。記者としてぜひ欲しいと思ったのが音声認識技術を使った議事録作成支援システム。アドバンスト・メディアという企業のブースに展示されていました。ディスプレイには上部に音声を可視化した、ラジオ局ではおなじみのいわゆる「波形編集」の画面、その下には文章が。そう、これは波形編集の音声を文字化しているのです。担当者によると、現在でも家電量販店などで2~3万円で簡易的なものは入手できるそうでが、本格的な業務用は相当精度が高く、音声ファイルをソフトに入れることで、音声を聞くことなく、ほぼその音声分の時間で文字化できるそうです。議事録のみならず、記者会見などの際にも重宝しそうです。その代わりお値段は数十万円。顧客先を見ると、自治体のほか、大手新聞社、テレビ局の名も。「いいなあ、お金のあるところは」…うらやましく感じながらももう少し価格が下がれば、ぜひニッポン放送でも導入したいソフトです。

AI 人工知能EXPO アドバンスト メディア 音声認識技術

音声認識技術をアピール アドバンスト・メディアのブース

「AIの進歩は失業者の増加につながるのではないか」と言われて久しいですが、さて記者の仕事も…? 私はそうは思いません。練り上げた質問を繰り出し、現場の空気、取材対象者の表情、会見にあった発言の背景など…伝えるべきことは山ほどあります。AIはそんな本来の仕事に集中することを手助けし、記事やレポートの質の向上に寄与してくれると思います。

一方、取材現場では確かに発言録作成に集中するあまりパソコンを注視し、取材対象者の顔さえ見ない記者がたまにいます。それはそれで必死なのでしょうが、そういう人に限ってキーパンチの音がやたら大きく、特に私ども音声メディアにとっては正直、邪魔な存在でしかありません。AIの進歩でこのような発言録作成しか能がない記者こそ淘汰されていくのでしょう。記者も質の向上に向けて、表現力、描写力、洞察力を磨く努力を惜しんではならないのは言うまでもないところです。

AI 人工知能EXPO

AI・人工知能EXPO 会場は大いににぎわう

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