【ライター望月の駅弁膝栗毛】
霞んだ日光連山をバックに山を下りてくるのは、日光線の普通列車・宇都宮行。
日光線の列車は通常、レトロなルビーブラウン帯の205系電車ですが、大型連休中は日中の運用につく「いろは」が、大宮発着の臨時快速列車として運行されたこともあり、湘南色の205系電車が応援で入っていました。
コチラの車両は通常、東北本線(宇都宮線)・宇都宮~黒磯間で活躍しています。
宇都宮の名物といえば、何と言っても「餃子」。
“冷めても美味しい”を基本とする駅弁としても、これまで試行錯誤を繰り返しながら、様々な商品が出されてきましたが、今回の商品名はなかなか刺激的!
その名も「キスできる餃子弁当」(850円)といいます。
今年(2018年)4月1日、宇都宮駅弁「松廼家」から発売されました。
実はコチラ、餃子をテーマにした地方創生ムービー「キスできる餃子」とのタイアップ駅弁。
面白いのは掛け紙の下、上蓋に「恋みくじ」なるものが付いていることです。
私、念のため、コチラの駅弁を2回購入しましたが、1度目が「大吉」、2度目は「末吉」が出ましたので、“みんな大吉”ということは無く、ちゃんとしたおみくじになっていました。
「松廼家」で駅弁作りをされている方の気分次第とも云われる(!?)、嬉しい仕掛けですよね!
【お品書き】
・カリカリ梅ごはん
・焼き餃子
・キスのフライ
・ピンクと白のうずら串
・スペイン風オムレツ
・人参の岩下漬けとくるみのマスタードマリネ
・アスパラマヨネーズ和え
・とちおとめの葛餅
女性を意識したという、華やかな色合い、少なめご飯、多品種のおかず。
訊けば、この2個の宇都宮餃子会監修の焼き餃子、キスした時のくちびるを意識した盛り付けなんだそうで、そのお隣には、魚の「キス」フライと遊び心も満載の駅弁です。
こういう大人が遊んでいる感じの商品、望月は大好き!
それでいて、デザートに「とちおとめの葛餅」まで入って850円はオトクです。
餃子駅弁をいただいた後に人と逢っても、まず気になることはないでしょう。
親密な間柄なら、食べた後でも十分に“キスできる”駅弁かも!?
餃子の量も程よく、映画をきっかけに、ぜひ継続的に販売してほしいものです。
この週末(5/13)には、上野~宇都宮間で団体臨時列車「キスできる餃子」号も運行予定。
映画と鉄道のタイアップはしばしば行われていますが、コチラの映画では、スペシャル駅弁に臨時列車など、フルコースの盛り上げが行われています。
なお、映画は6月22日公開で、栃木県内では6月15日に先行上映されるとのこと。
映画関係者の皆さんにとっては封切りに向けて“登り坂”が続く大変な時期ですが、宇都宮の街を盛り上げたいアツい思いが伝わってくる駅弁です。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/