【ライター望月の駅弁膝栗毛】
初夏の強い日差しと汗ばむ陽気の中、田んぼに水が入り始めたJR日光線沿線。
日光線は明治23(1890)年、東北本線と同じく、私鉄の日本鉄道によって開通した125年以上の歴史を誇る由緒ある路線です。
現在のルビーブラウン、金、クリームの各色があしらわれた4両編成の205系電車は、今から5年前の平成25(2013)年から活躍しています。
今年4~6月の間、JRグループと地元自治体がタイアップした観光キャンペーン「デスティネーションキャンペーン(DC)」が開催されている栃木県。
DCが行われている地域では、ほぼもれなくと言ってもいいくらい新作駅弁や期間限定駅弁が登場しますので、駅弁好きは要チェックのエリアとなります。
宇都宮駅の「松廼家」売店をのぞきますと・・・ホラ、ありましたよ!
今年(2018年)4月1日から発売されているのが、「岩下の新生姜とりめし」(850円)です。
1893年創業の「松廼家」と1899年創業の「岩下食品」(栃木市)が、JR東日本の協力でコラボレーションした駅弁。
栃木が生んだ19世紀創業の老舗同士が満を持して、それぞれの看板商品を組み合わせた“栃木最強”と言ってもいい駅弁を誕生させました。
【お品書き】
・鶏そぼろ入り 岩下の新生姜まぜごはん(卵そぼろ、岩下の新生姜添え)
・岩下の新生姜衣の鶏からあげ
・鶏つくね 岩下の新生姜入り油淋鶏ソース
・ピンクの味付けたまご~うずら卵の岩下漬け~
・人参の岩下漬けとクルミのマリネ マスタード仕立て
今までの宇都宮のとりめしの概念を覆す、新しい「とりめし」です。
まず、うっすらピンクの色合いに染まった、岩下の新生姜のまぜごはんが目を引きます。
さらにご飯を食べ進めていくと、まぜごはんの真ん中に「とりそぼろ」が挟まっていました!
来ました! 流行りの“二層式”!!
ひと手間かかっていることが分かり、嬉しくなります。
松廼家によると、華やかさと生姜のご飯であることを打ち出すべくこの盛り付けになったそう。
おかずにもたっぷり「岩下の新生姜」が使われ、コラボ駅弁にふさわしい新生姜づくし。
もちろん鶏肉には、松廼家十八番の「いっこく野州どり」が使われています。
元々、台湾原産で当時の「岩下食品」の社長さんが機内食でこの生姜を出された際に、美味しさに感銘を受け、今までにない新しい生姜という意味で名づけられたという「新生姜」。
この「新生姜」の風味が、実に食欲をそそってくれる、宇都宮の“新とりめし”!
国際色豊かな栃木ならではのとりめしとも言えましょう。
6月末までDC期間中の土・休日は、栃木市の「岩下の新生姜ミュージアム」でも販売中。
岩下食品によりますと、特に大型連休の間は大好評を博したそうです。
宇都宮駅「松廼家」売店では、その後も継続販売を予定しているということです。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/