【ライター望月の駅弁膝栗毛】
新緑まぶしい鬼怒川の鉄橋を、汽笛を鳴らしながらやって来るのは、去年(2017年)夏から、週末を中心に運行されている、東武鉄道の「SL大樹」。
訪れた日が大型連休中の祝日だったこともあって、C11形蒸気機関車の207号機は大樹のヘッドマークと共に日の丸を掲げて、ゆっくりと鉄橋を渡ります。
写真を撮り終えたら、乗客の皆さんや乗務員さんと手を振り合うのも楽しいひと時です。
「SL大樹」の運行開始に合わせて、始発駅・下今市(しもいまいち)のホーム売店が充実。
東武日光で売り切れでも、下今市で買える場合があるので、立ち寄る価値は十分あります。
SLに乗るならもちろん、指定が取れなくても、主に日光線・鬼怒川線の普通列車で活躍する東武6050系電車は、2ドア・ボックスシート・テーブル付の駅弁向き電車なのが嬉しいもの。
今回は、「日光鱒鮨本舗」の「ゆば御膳」(1,080円)をいただきました。
【お品書き】
・ゆば入り舞茸ご飯
・鱒の塩焼き
・玉子焼き
・煮物(揚げ巻き湯葉、椎茸、人参、蒟蒻、インゲン)
・ニシンの昆布巻き
・しば漬け
雅な雰囲気が感じられる和紙の掛け紙を外すと、たっぷりの舞茸ご飯!
よく見るとおこげも見えて、手作り感が伝わってきます。
しかも、口に運ぶと、ご飯の中にゆばが隠れていて、嬉しさが増します。
鱒寿しのお店ゆえ、鱒を知りつくした程よい塩加減の塩焼きもクセになるものです。
そして、ゆばの煮物のウェットな食感と鼻腔に抜ける香りが、日光の旅の余韻にじんわりと浸らせてくれて、心地よく旅を〆てくれるに違いありません。
スペーシアをはじめとした東武線の特急は、鬼怒川温泉方面へ向かう列車が多く、東武日光へは下今市で乗り換えとなるケースが多くありました。
ただ、去年から登場した「リバティ」では、下今市で6両のうち3両ずつ、東武日光と鬼怒川温泉(会津田島)方面へ分割されるため、乗り換えなしで日光方面へ行ける列車も増えました。
新緑がまぶしくて気持ちいい、初夏の日光・鬼怒川です!
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/