【ライター望月の駅弁膝栗毛】
常磐線の水戸と、東北本線の郡山(安積永盛)を結ぶ「水郡線」。
カラフルな3ドアのキハE130系気動車は、水戸郊外の通勤・通学の足となっていると共に、袋田の滝をはじめとした茨城県・奥久慈地方への観光の足としても活躍しています。
水戸から最大の中間駅・常陸大子までは、1時間15分前後。
郡山まで直通する列車は、3時間あまりをかけて、のんびりと全線を走破しています。
水郡線の列車が、水戸駅を出て、最初に渡る大きな川が「那珂川(なかがわ)」です。
那珂川は那須岳に源を発し、栃木から茨城へと流れ、ひたちなか市と大洗町の間で、太平洋へと注ぐおよそ150kmの一級河川です。
那珂川には、天然の鮎はもちろん、秋のシーズンには鮭も遡上。
関東きっての清流の1つとも云われています。
(参考)茨城県ホームページ
そんな那珂川水系にある茨城県城里町(しろさとまち)の辺りは、古くから水戸藩への献上米が生産されてきた米どころ。
この地域のブランド米「ななかいの里コシヒカリ」を使って作られている茨城の駅弁といえば、その名もなんと!「日の丸弁当」(540円)です。
鹿島臨海鉄道・大洗駅を拠点に駅弁を展開する「万年屋」が製造しています。
【お品書き】
・ご飯(ななかいの里コシヒカリ)
・茨城県産根菜(土浦レンコンと鉾田ゴボウ)とつくば鶏のそぼろ
・きゃらぶき
・梅干し
掛け紙を外し、ふたを開けた瞬間、ホントにご飯と梅干だけ・・・と思うのですが、実はこのご飯がタダモノではなく、平成23(2011)年に静岡で行われた「お米日本一コンテストinしずおか」で最優秀賞を受賞した実績を持つお米なのだそう。
さらに! さらに!
箸を入れてビックリ!
白いご飯とご飯の間に、茨城県産根菜(蓮根、牛蒡)とつくば鶏のそぼろが隠れていました!
このギャップがクセになる「日の丸弁当」、近年流行りの“二層式”駅弁でもあります。
加えて、センターの“日の丸”を担う梅干しは、大洗「吉田屋」の「石川1号」を使用。
ワンコイン+αで、茨城のブランド食材をしっかりと味わえる、何とも有難い駅弁です。
「万年屋」によると、「ななかいの里コシヒカリ」を応援しようという気持ちから始まった駅弁で、ただ、お米を打ち出すだけではなく、ちょっと変わったものを出したいと、この形になったそう。
冷めてもツヤツヤした粒、ふんわりした食感に、米の実力を感じます。
水戸市からお隣・那珂市にかけて、水郡線の列車は水田の中をトコトコ走ります。
関東平野を流れる河川に育まれた豊かな土が支える、農業県・茨城。
『がんばれ、ニッポンの農業!』
折を手にすれば、食材の美味しさに、思わず声援を送りたくなる「日の丸弁当」です。
水戸駅でも販売がありますので、きっと訪れる度に “欲しがります、何度でも”!
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/