【ライター望月の駅弁膝栗毛】
昭和38(1963)年に運行が開始され、今年で55年の節目を迎える、特急「ひたち」号。
平成元(1989)年に「スーパーひたち」、平成9(1997)年に「フレッシュひたち」が登場した後、上野東京ライン開業の平成27(2015)年からは、それぞれ「ひたち」「ときわ」に改称されました。
80年代半ばまでは特急「ひたち」を補完する形で、急行「ときわ」が運行されていましたので、
今の常磐線特急は、古い方には懐かしく、新しい方には新鮮な組み合わせとなっています。
古い方に懐かしく、新しい方に新鮮なのは、時代劇でも同じことかもしれません。
民放地上波のゴールデンタイムから時代劇が消えて久しいですが、再放送などで見直すと、おなじみのテーマが流れているだけで、ホッとできるものがあるんですよね。
その意味では、駅弁とも共通点は多いハズ。
昔からある馴染みの駅弁が今もあるだけで、駅を訪れた人はホッとできるものです。
水戸周辺の駅弁で“馴染みの顔”といえば、印籠形容器の「水戸印籠弁当」(1,080円)!
「2000年代はじめ」までは水戸駅弁を手掛けていた鈴木屋が製造していた駅弁で、現在は、大洗の駅弁屋「万年屋」が受け継ぎ、リニューアルしながら製造・販売しています。
水戸駅構内(現在はNEWDAYS)では、3年8か月ほどの空白期間はあったものの、今も販売されています。
【お品書き】
・炊き込みご飯(茨城産うるち米・もち米)
・つくば鶏
・タコ
・はまぐり
・豚肉の梅和え
・煮物(がんも、椎茸、人参)
・青梅の甘露煮
印籠型の2段重ねの重箱となっている「水戸印籠弁当」。
現在の形にリニューアルされたのは、「万年屋」が創業25年を迎えた2016年からだそうで、大洗駅弁おなじみのタコ、蛤、つくば鶏の3つの食材を一緒に味わえるようになりました。
もちろん、水戸ゆかりの梅をテーマにした豚の梅和え、梅の甘露煮は健在。
E657系電車も梅をイメージしたカラーリングですから、やはりコレは外せませんね!
「万年屋」によりますと、代表の方が鈴木屋と繋がりがあり、お店を閉められる際、「印籠弁当だけは・・・」となって受け継がれ、印籠形容器の駅弁が続くことになったといいます。
「万年屋」が、昔の水戸駅弁の系譜を継ぐ駅弁として「水戸印籠弁当」を作っていることは、駅弁文化の上からも、大いに意義があることだと思います。
水戸駅で駅弁を手にしないと、黄門さまに“懲らしめてやりなさい!”と云われてしまいそう。
売店の陳列棚から『この駅弁が目に入らぬか!』と聞こえてきそうな「水戸印籠弁当」です。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/