【ライター望月の駅弁膝栗毛】
いわきからE531系電車に揺られてやって来たのは、富岡駅。
常磐線の竜田~富岡間は、去年(2017年)10月21日に運転を再開しました。
残る不通区間は、富岡~浪江間・20kmあまり。
この区間は現在、1日6本の代行バスによっておよそ30分で結ばれていますが、2019年度末(2020年)の運転再開を目指し、復旧工事も進められているということです。
富岡駅は、震災の津波被害で駅舎が流出する被害を受けました。
運転再開に合わせて、少し移転した場所に、新たな駅舎が完成。
駅にはNREが運営を委託された「さくらステーションKINONE」が併設され、地域のコンビニや食事処としての役割が期待されています。
ちなみに、桜は富岡町の町の木、“KINONE”という店名には、木の根のように、地域に根を張ったお店にしたいという思いが込められているそうです。
(参考)国土交通省、富岡町ホームページ
常磐線のいわき以北は、太平洋がよく見えます。
やっぱり、鉄道旅の醍醐味は、車窓に海、山、川、湖などが見えること。
中でも海に魅力を感じるのは、生命の故郷ゆえか・・・といった思いも巡ります。
沖に小さく、大きな船の姿を見ることが出来ました。
目を凝らすと太陽のような絵柄・・・、大洗~苫小牧航路の「さんふらわあ」でしょうか?
そんな「さんふらわあ」の船影を眺めながら常磐線でいただきたい駅弁といえば、いわき駅で販売されている「小名浜オムライス」(1,000円)。
このオムライスには、いわきのご当地ブランド「サンシャイントマト」が使われています。
実はいわき、全国的にも日照時間が長く、トマトも太陽の光をたっぷり浴びたモノだそう。
「小名浜美食ホテル」の手で、2017年秋の「駅弁味の陣」に合わせて駅弁化されました。
【お品書き】
・オムライス(チキンライス、オムレツ、トマトデミグラスソース)
・カジキメンチ
・マカロニサラダ
懐かしい昭和の洋食屋さんの味をイメージして作られたという「小名浜オムライス」。
トマトの香りたっぷり、別添のデミグラスソースをかけていただきます。
保存性ゆえか、ソースのトロッと感は少なめですが、うま味は凝縮されており、付添のスプーンでよく伸ばしていただいていくと、より美味しくいただくことが出来ます。
駅弁では、どうしても和食系、幕の内系の駅弁が多いだけに、オムライスは新鮮な印象。
これも平仮名市名、ハワイアン、新しい時代を切り拓いてきた1つのいわきらしさでしょうか。
現在、富岡駅へは、いわき方面から11往復の普通列車が運行されています。
このうち、いわき10:27発と16:13発の2往復は、リクライニングシートや背面テーブルが装備された、元・スーパーひたちの651系電車が使われる“乗りドク列車”となっています。
かつて仙台まで足を伸ばしていた651系電車に揺られ、再びレールが繋がる日を願いながら、いわき産食材が詰まった駅弁旅を楽しむことも、きっと小さな応援になるはずです。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/