【ライター望月の駅弁膝栗毛】
常磐線・土浦~いわき間、および水戸線の普通列車で活躍するE501系電車。
元々は、常磐線・上野~土浦間を中心に走る“通勤電車”でしたが、常磐線の普通列車にもグリーン車が連結されるようになり、トイレなどを取り付け、土浦以北に移ってきました。
この車両、欧州の技術が導入されたため、かつては“ドレミ・・・”の音階を奏でる車両としても知られましたが、現在は機器が更新され“普通の”電車となっています。
上野東京ラインでもおなじみのE531系電車は、いわき周辺でも活躍しています。
ただ、常磐線のグリーン車付の列車は原則、高萩までとされていますので、いわきにやって来るのは、上野口では11~15号車となる5両編成の付属編成。
いわき(仙台)方の3両にボックスシートがあるので、駅弁旅には嬉しい車両です。
車両のバリエーションは、列車に乗る方としては“比べる楽しみ”も生んでくれますよね。
駅弁の食材も、調理法の違いを1つの折で「比べる」ことが出来るのは楽しいもの。
いわき駅の「うにの貝焼き食べくらべ弁当」(1,380円)もその1つです。
この駅弁は、「小名浜美食ホテル」が今年(2018年)1月の、京王百貨店新宿店「第53回・元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」に合わせて投入した新作。
業界向けに行われている「ファベックス惣菜・べんとうグランプリ2018」でも入賞したそうです。
【お品書き】
・酢飯
・貝焼きうに
・蒸しうに
・醤油漬いくら
・生姜酢漬け
いわきの名産として知られる「うにの貝焼き」。
駅弁では、焼きうに(上)と蒸しうに(下)の、2つのうにをいただくことが出来ます。
特に焼きうには、ホッキ貝の貝殻にうにを盛って、蒸し焼きにしています。
ご飯が酢飯の上、いくらも載っているので、味にアクセントが付き、どんどん箸が進みます。
思えば、住吉屋が作っていた「昔のいわき駅弁」にも貝殻付きの「貝焼弁当」がありました。
その意味でも、新作ではしっかり貝殻を入れて下さったのが、とても嬉しく感じました。
食べられないモノを入れられて、何が嬉しいんだと思う方もいるかもしれませんが、駅弁は、ただ食べられればいい弁当とは違うんだと思います。
この土地を訪れた人が、地域の食文化を知るという学びの要素もあって、初めて『駅弁』。
「いわきの海」で頑張る漁師さんたちの姿を思い浮かべて「うにの貝焼き」をいただくと、一層味わい深いことでしょう。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/