【ライター望月の駅弁膝栗毛】
常磐線の勝田から那珂湊を経由して、阿字ヶ浦(あじがうら)までの14kmあまりを結んでいる第3セクターの路線、「ひたちなか海浜鉄道」の湊線。
懐かしいレトロな雰囲気の列車と共に、近年活躍を始めたのがJR東海をはじめ東海地方のローカル線から移籍してきたキハ11形気動車です。
外観こそ若干変更されましたが、内装はほぼそのままでのんびりと走っています。
一方、この車両は、兵庫県の第3セクター・三木鉄道で走っていたミキ300形気動車。
コチラは三木鉄道時代の塗色のまま、通勤・通学のお客さんをたくさん乗せています。
かつて茨城交通だった路線を引き継いで、平成20(2008)年に第3セクターの鉄道として生まれ変わった「ひたちなか海浜鉄道」。
早いもので今年(2018年)、誕生から10周年を迎えました。
那珂湊駅にはかつて土曜のみ販売の駅弁がありましたが、今は駅での販売を終了。
そこで今回は、那珂湊の対岸・大洗「万年屋」の駅弁から、湊線沿線にもゆかりのある駅弁、「三浜たこめし」(1,000円)をご紹介しましょう。
“三浜(さんぴん)”とは、茨城の『大洗、湊、平磯』の3つの浜を指していて、実はこの地域、全国有数のタコの加工高を誇る地域だというんです。
【お品書き】
・おこわ
・タコ煮
・錦糸玉子
・菜の花辛子和え
・煮物(人参、椎茸、筍)
・ガリ
「ダイダラボウのはまぐりめし」と共に、「万年屋」の駅弁製造当初からある「三浜たこめし」。
絵描き唄の歌詞と共に描かれたタコの掛け紙を外すと、柔らかく煮たタコが5枚、うるち米ともち米のおこわに彩りよく載っています。
嬉しいのは、おこわの中にも、小さいタコがしっかり炊き込まれていること。
このタコの炊き込みおこわの味わいがよく、煮ダコとダブルでおいしさが楽しめます。
「ひたちなか海浜鉄道」では、今も時折レトロな車両が走ったり、一部の車両は運行終了後も駅に留置されていて、懐かしい雰囲気を感じることが出来ます。
鉄道趣味的に各地から集まってきた気動車を楽しめるのはもちろん、水戸を起点に常磐線、湊線を乗り継ぎ、那珂湊~大洗間をバスで繋ぐと、鹿島臨海鉄道の大洗駅へ抜けられます。
那珂湊おさかな市場やアクアワールド大洗水族館、大洗磯前神社、アニメの聖地巡りなどを組み合わせれば、立派な周遊ルートになるんですよね。
「ひたちなか海浜鉄道」でも、この周遊ルートを応援するお得なきっぷ「世界一楽しい片道切符2」(900円)を今も継続販売しています。
茨城のオイシイところがギュッと詰まった“鉄分”たっぷりの旅、ぜひ一度お試しを!
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/