【ライター望月の駅弁膝栗毛】
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鹿島臨海鉄道・6000形気動車
水戸駅の端・8番ホームに発着する気動車は、「鹿島臨海鉄道」大洗鹿島線の列車。
鹿島臨海鉄道・大洗鹿島線は、水戸と鹿島サッカースタジアムの間・53kmの間を結んでいる第3セクターの路線です。
昭和60(1985)年の開業以来活躍しているのが、赤い色が印象的な6000形気動車。
新型車両も導入されていますが、転換クロスシート装備の6000形はまだまだ主力です。
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ダイダラボウのはまぐりめし
そんな転換クロスシートの車両を走らせている鉄道会社らしく、駅弁もあるのが嬉しいところ。
鹿島臨海鉄道の本社がある大洗駅で、駅弁を販売しているのが「お弁当の万年屋」です。
平成3(1991)年の創業で、駅弁販売当初からの弁当の1つが、掛け紙に昔話の大きな人の姿のようなものが描かれた「ダイダラボウのはまぐりめし」(1,000円)です。
キチンと掛け紙の付いた駅弁のある3セクって、全国を見回しても意外に少ないんですよね。
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大串貝塚のダイダラボウ(2014年・ニッポン放送番組取材時に撮影)
「ダイダラボウのはまぐりめし」は、常陸国風土記に登場するダイダラボウ伝説に因んだもの。
大洗鹿島線・常澄駅が最寄りとなる「大串貝塚ふれあい公園」には、あの奈良の大仏よりも大きいとされる、高さ15mあまりの巨大なダイダラボウの像があります。
ちなみに、この「大串貝塚」、文献に記録された貝塚としては世界最古とか。
そんな歴史を踏まえて「はまぐりめし」の掛け紙を外していくと、一層美味しく味わえそうです。
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ダイダラボウのはまぐりめし
【お品書き】
・炊き込みめし
・ハマグリ
・錦糸玉子
・煮物(レンコン、人参、ガンモ、椎茸)
・インゲン
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ダイダラボウのはまぐりめし
懐かしい笹籠のふたを開けると、風味のいい磯の香り。
ゴマをふられた大きなハマグリがゴロゴロっと、炊き込み飯の上に載っていて、出汁がしみ込んだ煮物と一緒に、あっさりといただくことが出来ます。
茨城は北関東ですが、海沿いのせいか、味付けが濃すぎないのが好印象。
もしかしたら縄文の昔、ダイダラボウが、ハマグリをおいしいおいしいとムシャムシャ・・・。
そんな歴史のロマンも感じさせてくれる、水戸・大洗ならではの駅弁です。
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鹿島神宮駅
大洗鹿島線の終着・鹿島サッカースタジアムは、サッカー開催日のみ営業する駅。
このため通常の列車は、そのままJR鹿島線へ乗り入れて鹿島神宮駅まで直通します。
列車によって差はありますが、全線通しで乗車すると1時間15分あまり。
成田線・佐原方面行の列車に乗り換えて、佐原・銚子方面へ抜けることも可能です。
今回”勝負の神様・鹿島神宮“はちょっとスルーして、次回はもう一つの”ショウブ“へ・・・。
連載情報
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ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/