【ライター望月の駅弁膝栗毛】
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E657系・特急「ひたち」、常磐線・いわき~内郷間
常磐線イチの花形列車、E657系の特急「ひたち」号。
現在では一部の列車を除いて、上野東京ライン・東海道線直通列車として運行されており、品川~いわき間は、およそ2時間半で結ばれています。
常磐線沿線からは、東京駅からの新幹線や、品川から京急線経由での羽田空港アクセスが飛躍的に向上し、東京・山の手エリアからも常磐線特急が使いやすくなりました。
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常磐線からの太平洋
常磐線のいいところは、何と言っても、車窓から海が見えること。
「ひたち」が停車する日立駅をはじめ、いわきの先にも美しい海が広がります。
しかも、この辺りの海は、暖流の黒潮と、寒流の親潮がぶつかる「潮目の海」。
元々、この地域の魚介類は「常磐もの」として人気が高く、この6月からスズキ漁が再開され、これまで制限されていた主要魚種の漁は、全て復活を果たしました。
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浜街道 潮目の駅弁
やっぱり、いわきの駅弁には、魚介系の食材がよく似合います。
いわき(平)には長年、住吉屋という駅弁屋さんがありましたが、平成17(2005)年に惜しまれながら廃業してしまいました。
それから10年、平成27(2015)年から、久々にいわき駅の正規の駅弁として復活したのが、「小名浜美食ホテル」が手掛ける「浜街道 潮目の駅弁」(1,200円)です。
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浜街道 潮目の駅弁
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浜街道 潮目の駅弁
【お品書き】
・鰹飯(福島県産コシヒカリ使用)
・うに飯(福島県産コシヒカリ使用)
・カジキメンチ
・サンマポーポー焼き 大葉ガーリックソース
・メヒカリ甘露煮
・たくあんしそ巻き(いわき産)
・かまぼこ
・煮物(カジキあげかまぼこ等)
・トマトゼリー(いわき産サンシャイントマト使用)
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浜街道 潮目の駅弁
地元産食材を使いながら、いわきらしい食材が詰まった「浜街道 潮目の駅弁」。
特急「ひたち」号などにも乗務されるというJR東日本・いわき運輸区の皆さんによるプロデュースで生まれました。
肉系駅弁隆盛の昨今にあって、イロイロな魚介類が楽しめる駅弁は新鮮な存在。
東日本では希少な鰹めしや、ご当地グルメのカジキを使ったメンチカツも珍しいですね。
ちなみに、甘露煮になっている「メヒカリ」は、いわき市の「市の魚」。
海の幸も山の幸も、いわきの「イイ所」がギュッと詰め込まれた駅弁です。
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E657系・特急「ひたち」、常磐線・内郷~いわき間
「ひたち」号は全車指定席。
えきねっとのチケットレスサービスを使うと、通常の特急券より少しお得になります。
乗車変更もスマホから何度でも出来る上、シートマップで好きな席も選べます。
国鉄特急は元々「全車指定席」だったことを鑑みますと、スマホから予約できるようになって、発券の手間もなくなったことで、「本来の姿」に戻ってきたのかもしれません。
気軽にサクッとゆったり座って、潮目の海へ出かけてみてはいかがでしょうか。
連載情報
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ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/