【ライター望月の駅弁膝栗毛】
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E531系電車、東北本線・黒田原~高久間
今年も間もなく、夏の青春18きっぷのシーズン。
普通列車乗り継ぎ旅の難関は、ローカル路線バスの旅と同様に「県境越え」です。
幹線の東北本線でも栃木・福島の県境は、日中は1時間半前後、空く時間帯があります。
そんな東北本線・黒磯~新白河間で、去年(2017年)秋から朝夕を中心に活躍しているのが、5両編成のE531系電車です。
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キハ110系気動車、東北本線・黒田原~高久間
このE531系電車とコンビを組むのは、2両編成のキハ110系気動車。
コチラは日中から夜にかけての運行となっています。(列車番号にDが付いた列車)
「去年」お伝えした通り、東北本線は黒磯~高久間で電化方式が直流から交流に切り替わるため、黒磯~新白河間は交直両用の電車か、気動車による運行となっています。
日中は乗客もあまり多くないことから、短編成の気動車となっている訳ですね。
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磐越東線・キハ110系気動車&常磐線・E531系電車
栃木・福島県境を走るE531系とキハ110系は、仲良く並んで走ることもあります。
実はE531系電車は普段、常磐線・水戸線で活躍している車両。
一方のキハ110系は、磐越東線の列車として走っている車両なんですね。
このため、新白河周辺だけでなく、いわき周辺でも顔を合わせることがあります。
福島の中通りだけでなく、浜通りでも“仲良し”のE531系とキハ110系なんですね。
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ふくのしま 豚の醍醐味
電車、気動車、いろんな車両が楽しめるのも、地元の方や乗り合わせた旅行者、年配の方や若者など、いろんなタイプの人に出逢えるのも、“普通列車旅の醍醐味”というもの。
だからこそ空いた列車なら、昔ながらの駅弁旅も楽しみたいところです。
いろんな味が楽しめるといえば、郡山駅の「ふくのしま 豚の醍醐味」(1,150円)。
郡山駅弁の「福豆屋」が、平成26(2014)年1月から販売している駅弁です。
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ふくのしま 豚の醍醐味
【お品書き】
・白飯
・豚肉炙り焼き
・豚角煮
・炙りベーコン
・豚みそそぼろ
・豚しぐれ煮
・赤かぶ酢漬
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ふくのしま 豚の醍醐味
福島のブランド豚・麓山高原豚(はやまこうげんとん)が、炙り焼、角煮、ベーコン、そぼろ、しぐれ煮の「5つ」の味で楽しめる駅弁です。
実は発売前年、東京「五」輪の開催が決定したことも、開発の追い風になったとか。
肉厚な炙り焼か、角煮のトロッとした食感か、うま味が凝縮されたベーコンも捨てがたい。
特徴的な横長の容器をくるんだ掛け紙を外した瞬間から、どの豚肉からいただこうか、嬉しさと悩ましさが脳内をグルグルと巡ります。
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ふくのしま 豚の醍醐味
「福豆屋」によりますと、麓山高原豚は、肉の脂が美味しい豚なんだそうです。
特に炙り焼は、脂のうま味を感じられる逸品!
昔、福豆屋で販売していた豚肉の女将漬をイメージしながら、特製のたれでじっくり焼き上げ、お金のことを考えるとチョット痛いところ、大サービスで肉厚な2枚を入れたそう・・・。
1枚食して、口の中にジュワっと広がる肉のうま味に、思わずもう1枚と箸が止まりません。
ホントに、炙り焼を「2枚」、入れて下さってありがとう!!
美味しい駅弁は、嬉しさと感謝の気持ちが自然と溢れます。
これもまた“駅弁の醍醐味”の1つなのです。
連載情報
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ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/