【ライター望月の駅弁膝栗毛】
東日本エリアにおけるSL復活運転の拠点となっている群馬県。
週末を中心に高崎~水上間で運行されている「SLみなかみ」号は、その看板列車です。
先頭に立つ「D51形蒸気機関車498号機」は、昭和63(1988)年、フジテレビの開局30周年記念で運行された「オリエント急行’88」のラストランで復活した蒸気機関車。
今年(2018年)の年末で、復活30周年の節目を迎えます。
(参考)JR東日本高崎支社プレスリリース
「SLみなかみ」は、乗って楽しく、撮って楽しい列車です。
特に撮る場合、水上行の下り列車は、上り勾配を力強く走る様子が見られます。
加えて渋川の21分停車の間に、後から来る普通列車を先に通すため、渋川以南と以北で、1回ずつ、列車で追いかけをしながらSLの撮影をすることも出来ます。
昔は嫌われたであろう煙も、今では週末だけの特別な風景として愛されていますよね。
高崎から2時間あまり、水上に着いたD51は、12系客車と切り離され、転車台でぐるりと向きを変え、帰りの運行に備えてメンテナンスに入ります。
水上駅は、かつての水上機関区の名残りで、広い構内が特徴的。
昔は補機として活躍したEF16形電気機関車などが、いっぱい停まっていたんでしょうね。
薄らと蒸気を上げ、上越国境の山々をバックにひと休みするデゴイチも絵になるものです。
上越線・信越本線など群馬エリアでSL列車が運行される日に、高崎駅で販売される駅弁が、「上州D51弁当」(1,000円)です。
SLのカマをイメージした丸くて黒い容器に、「D51 498」のロゴが入ったオリジナルの箸付き。
高崎駅の駅弁を手掛ける「高崎弁当」が製造しています。
牽引機関車が「D51 498」の時は、やっぱりこの駅弁をチョイスしたいですよね!
【お品書き】
・竹炭御飯
・舞茸佃煮
・榛名豚チャーシュー
・鶏肉焼き
・煮物(海老、椎茸、筍)
・蒲鉾
・うずら玉子
・かりかり梅
・栗甘露煮
「上州D51弁当」のいいところは、見た目も中身も充実しているところ。
蒸気機関車らしいふたを開けると、榛名豚チャーシューや舞茸、さらには「高崎弁当」名物・鶏めし弁当でおなじみ鶏の照焼きなど、群馬ならではの食材が入った具だくさんなおかず。
さらにその下には、竹炭で炊いた“黒いご飯”が顔をのぞかせます。
竹炭はご飯の美味しさを引き立てるということで、しばしば炊飯に使われていますが、これは食べて美味しく、見た目にもインパクト十分!
この駅弁があれば、きっと忘れられない上州の汽車旅となることでしょう。
「D51 498」は3時間ほど休憩して、午後3時頃、今度は12系客車の高崎寄りに連結。
15時20分、上りの快速「SLみなかみ」号として、高崎に向け発車していきます。
上りも渋川で14分の停車があり、この間に水上15:53発の普通列車を先に通します。
帰りもまた2か所で撮影するもよし、追いかけて渋川~高崎間で汽車旅を楽しむもよし。
乗っても、撮っても、やっぱりワクワクが止まらない「ぐんまのSL」です。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/