津軽五所川原駅「だざい弁当」(1,100円)~太宰の故郷を訪ねて、予約制の駅弁と一緒に「津軽鉄道」の旅!

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【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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津軽21形気動車、津軽鉄道・芦野公園駅

夏の間、太宰治の作品を読んで、読書感想文を書いたお子さんもいることでしょう。
感想文の筆が進まず、日一日と時間だけが過ぎてしまった人もいるかもしれません。
実は鉄道好きなお子さんなら、思いっきり読書感想文が書けそうな列車があります。
それは、青森県の「津軽鉄道」が6/15~8/31まで運行している「太宰列車」!
各ボックス席に太宰の作品が設置され、車内には太宰ゆかりの展示が施された列車です。

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津軽21形気動車、津軽鉄道・津軽中里駅

津軽鉄道はJR五能線・五所川原駅に隣接した津軽五所川原駅と津軽中里駅の間、20kmあまりを結ぶ“日本最北の私鉄”です。
津軽鉄道といえば、冬に運行される「ストーブ列車」で有名ですが、普段は津軽21形気動車によるワンマンの単行列車が基本。
津軽平野ののどかな田園風景の中を、オレンジ色の気動車がトコトコと走ります。

津軽半島観光 アテンダント 太宰治 青森 駅弁 だざい弁当 ストーブ列車 五所川原駅

津軽半島観光アテンダントさん

そんな津軽鉄道の車内で、沿線の見どころの地図を配布しながら、乗客のニーズに合わせて観光案内をしてくれるのが「津軽半島観光アテンダント」の皆さん。
1両の車内を隈なく回って、乗客1人1人(特に観光客)に声掛けをしてくれるので、津軽鉄道の列車に乗ると、ほぼもれなく温かい気持ちになるんですよね。
ちなみに「太宰列車」では、太宰作品の朗読も行っているそうです。

赤い屋根の喫茶店 駅舎 太宰治 青森 駅弁 だざい弁当 ストーブ列車 五所川原駅

赤い屋根の喫茶店「駅舎」

アテンダントさんによると、観光で津軽鉄道に乗るお客さんは、途中の金木で降りて「斜陽館」や「津軽三味線会館」といった定番スポットを巡る方が多いのだそう。
巡った後はせっかくなら、津軽中里方面へ1駅、春は桜の名所で有名な芦野公園駅へ。
小説「津軽」にも登場した芦野公園駅の旧駅舎は今も保存されており、「赤い屋根の喫茶店 駅舎」として活用されています。
そのまま残された昔のきっぷ売り場やサボ(行先案内板)など、店内は鉄分たっぷり!
サイフォンで入れた珈琲のほろ苦さが、レトロな雰囲気と相まって、懐かしさを引き立てます。

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だざい弁当

そんな芦野公園駅の旧駅舎が掛け紙に描かれているのが、「だざい弁当」(1,100円)です。
津軽鉄道には、3日前までの予約制で食べられる季節駅弁があります。
「だざい弁当」は、6月~8月の限定販売で、太宰生誕100年直前の平成21(2009)年5月に津軽鉄道の駅弁第4弾として販売が開始されました。
ちなみに、駅舎に太宰のシルエットが入った掛け紙のデザインは、イラストレーターの吉永直子氏によるものだそうです。

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だざい弁当

【お品書き】
・食用菊のまぜごはん
・青森産のもずく
・なすのしそ巻き
・かずのこ入りにしんきりこみ
・アスパラ
・こあえ(タラの子とにんじん)
・根曲がり竹(煮付け)
・カニ(太宰第一の好物)
・焼さかな
・にしんとほたての煮付け
・みょうが甘酢漬け

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だざい弁当

「だざい弁当」は、奥様・津島美知子著「回想の太宰治」の中から、太宰が好んだとされる郷土の食材をたっぷりと詰め込んで作られています。
調理を行っているのは、五所川原の駅からクルマで10分ほどの所にある「神家」。
予約を受けて製造し、当日の11時ごろに駅に届くようになっているそうです。
今回は正午過ぎにいただきましたが、まだ出来たての温もりが感じられるお弁当でした。

中でも、太宰への温かい思いが伝わってくるのが、「にしんとほたての煮付け」。
本人が「にしんもいいがあのとげがなぁ・・・」と苦手にしていたとされることから、ほたてと一緒に煮付けて、そのまま食べられるように、ひと手間加えられ、味わい深くなっています。
おかず1つにも、郷土の偉人への尊敬の念が感じられる「だざい弁当」なのです。

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津軽鉄道・津軽五所川原駅

「だざい弁当」を受け取った津軽五所川原駅は、ひときわレトロな雰囲気。
郷愁をそそる、昔ながらの縦書きの時刻表が今も健在です。
今シーズンの「だざい弁当」の販売は、残念ながら間もなく終了。
合わせて、太宰列車・風鈴列車の運行も終了して、駅弁は「いなほ弁当」、列車は「鈴虫列車」となり、津軽鉄道は一気に秋の装いとなります。

津軽鉄道 金木駅 太宰治 青森 駅弁 だざい弁当 ストーブ列車 五所川原駅

津軽鉄道・金木駅

懐かしい風景といえば、津軽鉄道では今もタブレット閉塞が健在!
津軽鉄道は単線ですので、途中の金木駅で、列車のすれ違いが行われます。
この際、タブレット(通行手形のようなもの)の交換が行われます。
通行手形を持った列車だけがその区間を走れる「タブレット閉塞」については、以前、同じ東北地方・秋田県の「由利高原鉄道」の記事でもご紹介しましたよね!

津軽鉄道 津軽飯詰駅 太宰治 青森 駅弁 だざい弁当 ストーブ列車 五所川原駅

津軽鉄道・津軽飯詰駅

そんな古き良き時代の鉄道用品が、津軽鉄道・津軽飯詰駅に集められ、今年7月22日に「津軽鉄道飯詰駅博物館」として開館しました。
「飯詰を元気にする会」が中心となり、地元企業や津軽鉄道の協力を得て、タブレット閉塞器や昔の列車のヘッドマークなどが展示されているとのこと。
当面の間は、毎月第3日曜日に開館するということです。

津軽21形気動車 津軽鉄道 金木駅 太宰治 青森 駅弁 だざい弁当 ストーブ列車 五所川原駅

津軽21形気動車、津軽鉄道・金木駅

津軽鉄道の駅弁は原則2個から、3日前の予約となっているため、1人旅が基本、突発的に旅に出ることが多い私にとっては、今までなかなかご縁の無い駅弁でした。
今回、初めていただいて、ローカル私鉄ならではの温もりたっぷりの駅弁に嬉しくなりました。
最初の駅弁「ストーブ弁当」の販売から10年あまり、すっかり駅弁が定着してきている様子。
津軽鉄道はストーブ列車をはじめ、普通列車でもテーブルのあるボックスシートが多いので、駅弁旅にはピッタリの環境が揃っているんですよね!

津軽鉄道によると、他のお客さまの注文があれば1人でも注文できることがあるので、まずは津軽鉄道(0173-34-2148、平日8:30~17:00、土曜8:30~12:30、日・祝は休み)まで、お問い合わせを・・・ということでした。
心温まる手作り駅弁と一緒に、日本最北の私鉄で、のどかな旅を楽しんでみませんか?

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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