【ライター望月の駅弁膝栗毛】
“一度は乗ってみたいローカル線”と表現されることが多い五能線。
その夢を叶えようと多くの方が乗り込む列車が、「リゾートしらかみ」です。
平成9(1997)年の秋田新幹線開業とともに誕生した全車指定の快速列車で、東日本エリアにおける観光列車の先駆け的な存在として知られています。
キハ48形気動車を改造して生まれた「くまげら編成」は、現在の車両では最古参となります。
平成22(2010)年の東北新幹線全線開業に合わせて登場したのが、ハイブリッド式車両・HB-E300系の「青池編成」で、それまでのキハ48形気動車を置き換えました。
「リゾートしらかみ」の目玉は、前面展望と大きな窓からの眺望、快適なリクライニングシート。
1両はグループ向けのボックス席で、靴を脱いで寛げるようフラットに出来る仕組みも・・・。
加えて、運行開始当初から、車内で津軽三味線の生演奏も行われています。
そして平成28(2016)年から運行されているのが、グリーンの車体と木目調の車内が印象的なHB-E300系・ハイブリッド車両の「橅(ぶな)編成」です。
この編成では3号車に「ORAHO(おらほ)カウンター」が設けられており、秋田・青森の地酒や白神山地の自然水でいれたコーヒー、スイーツなど沿線の特産品が販売されています。
このほか、列車によっては地元の皆さんが乗り込んで車内販売などを行う区間もあります。
「リゾートしらかみ」最大の車窓は、何といっても日本海。
そんな北の海を眺めていただくのにピッタリな駅弁といえば、五所川原市の「つがる惣菜」が製造し、弘前駅・新青森駅などで販売されている駅弁「お魚だらけ」(1,300円)です。
弘前・五所川原は内陸ですが、五能線沿線の深浦・鰺ヶ沢の港から新鮮な魚が集まる街。
「つがる惣菜」の人気駅弁シリーズ、「○○だらけ」の元祖的な存在です。
【お品書き】
・ご飯(青森県産)
・ほっけ焼き
・焼サーモン
・いか寿司
・鮭寿司
・いか焼き
・いかの唐揚げ
・ほたて貝の黄身焼
・ほたての唐揚げ
・いかメンチ
・菊の酢漬け
様々な魚の漢字が書かれた掛け紙を外すと、まさに「お魚だらけ」!
青森でよく食べられている魚介類を揚げたり、焼いたり、寿司にするなど、いろいろな調理法でいただくことが出来る、魚づくしの駅弁です。
ほっけ・鮭のダブル焼魚が、鄙びた温泉旅館のご馳走っぽくて、ほっこりした気分に・・・。
さらに、これでもかと登場するイカと帆立のおかずに、青森らしさが満点!
肉駅弁全盛の時代にあって、魚一点突破の駅弁にかえって清々しさを憶えます。
「リゾートしらかみ」の2・3・4・5号は、途中の千畳敷駅で15分ほど停車します。
「リゾートしらかみ」を乗り通すと5時間ほどの旅になりますので、ちょうどいい気分転換。
津軽のお殿様が千枚の畳を敷いて大宴会を開いたという伝説が残る「千畳敷」。
ホームに降り立って道を1本渡ると、そこはもう日本海が広がっています。
ビギナーにもローカル線旅への扉を優しく開いてくれる、「リゾートしらかみ」の旅です。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/