宮崎県都城市……地元では都城を「みやこんじょ」といいます。
都城市が任命する「みやこんじょ大使」のお1人に、コスプレ美魔女講演家、相良照代さんがいます。
大勢の聴衆の前で、あるテーマを話す講演家……相良さんがなぜ「コスプレ美魔女講演家」になったのか、こんな話がありました。
宮崎県高原町出身の相良照代さんは43歳。子供の頃はごく普通の、目立つような性格ではなかったそうです。
大きくなったらCA(客室乗務員)になるのが夢でしたが、短大を卒業した当時は、バブル崩壊後で就職難。どうにか宮崎市内のエステティックサロンに就職しますが、興味のないエステの世界に入り、店長とも仲が悪く、愚痴ばかり。
そんなある日、自分のミスでお客さんに火傷を負わせてしまいます。お客さんは怒りもせず、笑顔で「こんなことで仕事をやめないでね」と励ましてくれました。その言葉に、相良さんは目が覚めます。気持ちを入れ替えて仕事を続けていくうちに、美容の仕事の素晴らしさを、まさに肌で実感するようになります。
一流のエステティシャンを目指そうと、エステの専門学校に入学、さらに福岡のサロンでひたすら技術を磨き、27歳でエステティシャンの国際ライセンスまで取得します。
34歳のとき、職業訓練校のエステ科の講師を、2年間引き受けます。
しかし、講師は初めての経験で、言葉でエステを教える難しさに、相良さんは思い悩みます。ホワイトボードを使って説明しても、生徒の表情はパッとしません。
そこで相良さんは、小道具を使おうと思いつきます。ダンボールを使って人形などを作り、それで教えると、生徒が興味を持ち、笑顔がこぼれました。
2年間の講師期間を終えても、人前で話したり笑わせたり、その快感が忘れられず、だったら少人数でもいいから講演会を開いてみようと決心!
(前向きに、明るく、朗らかに生きる女性は、肌が強い……)
エステを通じて女性の美は笑顔から生まれると感じていた相良さん、「美と笑い」をテーマに講演を始めます。
第1回は友達の家で、10人ほどが集まりました。とにかく笑ってもらおうと仮装をして登場しますが、白けた空気が漂い、笑いも起こらず、第2回の参加者はゼロ。
何でウケなかったんだろう……、凝り過ぎたのかもしれない。だったら、お金をかけず、ちょっと残念な感じを出してみよう……。そこでモチーフにしたのが、志村けんさんの「バカ殿」でした。
青く塗ったダンボールに金色の折り紙を貼り、それをかぶり、顔は白塗りのバカ殿で、服は割烹着……、こうして誕生したのが、ツタンカーメンならぬ「つたないカーメン」というキャラクター。
このスタイルと、都城の方言で出場した『キラキラ女性講演会』全国大会で、なんと優勝! 地元、宮崎日日新聞に記事が出て、それを見た都城の池田市長から「おめでとう!」の祝電が届きます。
さらに、地元のテレビ番組に出演し、あっという間に宮崎で有名人に! いまでは九州各地から講演依頼があって忙しい毎日だそうです。
ところが困ったことが起きました。相良さんは2児の母……、下の幼稚園の娘はテレビに出る母親を誇らしく思っていますが、上の小学6年生の娘は、母親のあまりの変わりように溜息ばかり。同級生に「お前の母さん、何してるの?」と言われ、「お母さん、いつまでやるの?」「何でやめないの?」と悲しげな顔で聞いてきます。
相良さんは、長女に、本心を言って聞かせました。「お母さんの話を聞いた人が元気になって、その家族も元気になって、それが広がっていくように、お母さんはね、頑張っているのよ」
ある日、講演に出かける朝、車のワイパーに紙が……。
開くと、「おかあさん、がんばってね、きょうも、おうえんしているよ。おかあさんのパワーで、世の中を、元気にしてね!」
娘に自分の思いが伝わったことが、何よりも嬉しかったと相良さんは言います。
今日も九州のどこかで相良照代さんは、「美と笑い」をテーマに人々を元気にしています。
上柳昌彦 あさぼらけ
FM93AM1242ニッポン放送 月曜 5:00-6:00 火-金 4:30-6:00
朗読BGM作曲・演奏 森丘ヒロキ
番組情報
眠い朝、辛い朝、元気な朝、、、、それぞれの気持ちをもって朝を迎える皆さん一人一人に その日一日を10%前向きになってもらえるように心がけているトークラジオ