新宿で不動産業を営む小林勝則さんは、53歳。いわゆるガンダム世代で、アニメが大好き! 事務所の壁一面に、映画やアニメのDVDがズラリと並んでいます。
「おじが、手塚治虫さんと『虫プロ』を創設したメンバーの一人でね。その影響で、小さい頃からこの歳まで、ずっとアニメ好き……、オタクはオタクなんですが、活動的なオタクでね、中学生の頃は周りの仲間を集めて、文化祭にイベントを開く、そんな子供だったね。」
仕事柄、顔が広い小林さん。よく飲みに行くお店は、大久保や歌舞伎町あたり……5年ほど前、飲み友達を介して、車いすの女性と知り合います。
「その女性は、『ココロのバリアフリー計画』という、バリアフリーの〝応援店〟を広める活動をしていて。その頑張っている姿に、僕も応援したくなってね。歌舞伎町周辺で、車いすの人もウエルカムの店を30店ほど探して、ホームページに情報を載せてもらったんです。」
しばらくして、お店のオーナーから、思わぬ声が返ってきます。
(お店に、車いすの人がまったく来ないけど……)
そうか、情報を発信しても、必要としている人になかなか届かない。それなら、何かイベントをやって広げてみよう……この時、イベント好きな小林さんのハートに火がつくんです。
3年前、車いす活動支援団体「REX heart(レックスハート)」を設立。レックスハートとは「最強の心」という意味で、強い心を持って接していこうという思いが込められています。
手始めに何をやろうか……車いすの人たちに話を聞くと、(居酒屋で、お酒を飲みたい!)ただそれだけのことがなかなか出来ない、と聞いた小林さん。
お安い御用と、歌舞伎町の顔なじみ店でイベントを開くと、みんな気兼ねなく酔って大はしゃぎ! 楽しい一夜を過ごします。
小林さんは体が大きくて、ちょっとガキ大将の風貌です。いつしか、みんなから「団長!」と呼ばれるようになります。
「団長! 春になったら花見がしたい」
「団長! バーベキュー、やってみたい」
「団長! イチゴ狩りに行こうよ」
ひとつひとつ、実現していきました。
そして、「団長! お笑いライブが見たい!」の声に、都内の寄席を調べると、車いすのスペースがほとんどなくて、あっても後ろの隅っこ……。お笑いは目の前で見せてあげたい。
それなら自分たちで開こう! と企画したのが、『車いすdeお笑いライブ!』でした。
知り合いの芸人さんに相談すると、あの「ねずっち」さんを始め、10組のお笑い芸人さんを、交通費ほどの出演料で集めてくれました。
今年で第4回! 9月9日、今度の日曜日に、『車いすdeお笑いライブ!』が開かれます。
会場は、中野区の「なかのZEROホール」の視聴覚ホール。イスを取り除くとフラットなスペースになって、車いすの人が一番前で見られます。
芸人さんも、ウケるかどうか心配だったそうです。蓋を開けてみると爆笑の渦! ある芸人さんは、こう言います。
「いつもの寄席は、お客さんが寝てたり、弁当を食べてたり。でもここはみんなの目が輝いて、腹から笑ってくれるのが嬉しい」
最近、東京都など、公的機関が主催するイベントが増えています。そこに参加した、車いすの仲間が……、
「やっぱり、レックスハートのイベントが、一番楽しい! だって、友達として接してくれるから!」
その言葉に、小林さんのハートがキュンとしたそうです。
小林さん名刺の裏には、こんな文字が印刷されています。
「No one is Perfect, that's why we need LOVE」
これは、大好きな横山剣さんの歌の一節をちょっとカッコよく英語にして、団体のモットーにしています。
日本語にすると……、『人は不完全だからこそ、その隙間を愛で埋めるのだ』。
上柳昌彦 あさぼらけ
FM93AM1242ニッポン放送 月曜 5:00-6:00 火-金 4:30-6:00
朗読BGM作曲・演奏 森丘ヒロキ
番組情報
眠い朝、辛い朝、元気な朝、、、、それぞれの気持ちをもって朝を迎える皆さん一人一人に その日一日を10%前向きになってもらえるように心がけているトークラジオ