放し飼いでもトラブルなし!? タイ北部、ぶら~り犬紀行
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【ペットと一緒に vol.122】
今回は写真がメインのゆる~い旅行記をお楽しみください。タイのチェンマイやチェンライに暮らす、放し飼いの自由気ままな犬たちの生活を紹介します。
放し飼いなのにトラブルなし!?
筆者がタイを訪れる際に楽しみにしているのが、放し飼いの犬との触れ合いです。大都市のバンコクでは以前よりも放し飼いの犬は減って来ていますが、地方都市に行くと、まだまだゆる~い空気感のなかに身を置く放し飼いの犬たちや、その飼い主さんたちに出会えます。
チェンマイのマーケット周辺をぶらりと散歩していると、あちらこちらで犬たちを見かけました。東京よりは暖かいですが、タイ北部の町なので12月は現地の人にとっては冬。洋服を着せられている犬も多数います。素材はそれほど温かそうなものではないので、ただ単におしゃれ着なのかもしれませんが……。
マーケットでは、タイ北部の少数民族の衣装をモチーフにした犬用の洋服があり、筆者も思わず購入。同様に、アメリカ人観光客も「これはチェンマイでしか見たことない犬服だ。ナイス!」と言って手にとっていました。
露店の看板犬たち
ナイトバザールやナイトマーケットと呼ばれる露店が、チェンマイでもチェンライでも、夕暮れ時から出現します。早めに到着して歩く筆者の目に入って来るのは、やはり犬たち。愛犬を連れて来る露店のオーナーが数多く見られます。
オーナーたちに聞けば、悪天候の日以外は連れて来るのだとか。
「だって、いつも一緒にいたいから。あ、あとね、看板犬としてもいい仕事するのよ~」と、笑顔で答えてくれました。
観察してみると、露店の看板犬にはトイ・プードルやマルチーズなど、フワフワとした純血種が多いようです。なかには、日本スピッツを2頭連れている露店もありました。
実は、タイ北部は国際畜犬連盟(FCI)に暫定公認されているタイ・バーンケーオ・ドッグ(Thai Bangkaew Dog)という犬種の原産地です。体高50cmほどの中型の犬で、かなりおおざっぱな言い方をすれば秋田犬と日本スピッツを足して2で割ったようなルックスをしています。筆者が滞在中にバーンケーオに会うことはありませんでしたが、タイの北部ではこうした長毛の犬が人々に愛されているような印象を受けました。
自由な犬たちを見る楽しみ
タイの地方都市を訪れると感心することがあります。それは、放し飼いをしていても、犬たちがどこかへ行ってしまわないこと。
筆者はノーリッチ・テリアを2頭飼っていますが、ナイトマーケットの露店で看板犬役をノーリードで担わせた場合、我が家の愛犬がじっと飼い主を待っていてくれるという自信もなければ、ほかの犬や猫を見かけてもどこへも行かないという自信もありません。
タイの犬たちは、どうしてこんなに吠えもせず、おだやかに店番をしていられるのでしょうか。そもそも、店主の人柄の写し鏡のようにも見えることに、その答えが隠されているように思えます。
マーケットへの買い出しついでに、犬を散歩させる地元住民もよく見かけます。店主とのやりとりをしている間、横でじっと待っていたり、すれ違う犬と一瞬だけにおいを嗅ぎあってあいさつをしたり……。飼い主さんが次の店へ向かうと、後ろからついて行きます。ともかく、「えらいなぁ~」と筆者は感心しきりでした。
ひとりで街をさまよう犬もいました。飼い犬なのか、はたまたタイでは“ソイ(路地)・ドッグ”と呼ばれるコミュニティドッグなのかはわかりませんが、首輪はしているので野犬ではなさそうです。
気の向くままに自由にぶらぶらしているそんな犬たちを見ていると、日本の犬には自由が足りないかもしれないな……、なんて思いもめぐります。いずれにしても、犬たちが暮らす地域の文化によって、彼らの生活様式が変わって来るのは当然のことでしょう。それらを見ながら街を歩くのが、筆者の旅の楽しみのひとつでもあります。
年末年始やゴールデンウィークに海外旅行をする方は、現地の犬の暮らしぶりから、そこに暮らす人々の気質や文化を見つめてみてはいかがでしょうか。きっと新たな発見があるに違いありません。
※写真の無断使用を禁じます。©Kyone Usui
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著者:臼井京音
ドッグライターとして20年以上、日本や世界の犬事情を取材。小学生時代からの愛読誌『愛犬の友』をはじめ、新聞、週刊誌、書籍、ペット専門誌、Web媒体等で執筆活動を行う。30歳を過ぎてオーストラリアで犬の行動カウンセリングを学び、2007~2017年まで東京都中央区で「犬の幼稚園Urban Paws」も運営。主な著書は『室内犬の気持ちがわかる本』、タイの小島の犬のモノクロ写真集『うみいぬ』。かつてはヨークシャー・テリア、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らす。東京都中央区の動物との共生推進員。