【ライター望月の駅弁膝栗毛】
仙台エリアで普通・快速列車として活躍するE721系電車。
すっかり仙台都市圏の主力車両となりました。
E721系電車は、1両に3つあるドアとドアの間に、ボックスシートが2つずつ並んでいて、国鉄時代からの近郊形電車を踏襲したオーソドックスな車内。
鈍行旅好きには、やっぱりこういった車内のほうが、心落ち着くものです。
仙台駅の在来線ホームを上がって来ると、ひと際、賑わっているスポットがあります。
それは、「立ちそば処 杜」。
仙台駅弁の「こばやし」が手掛ける駅そば屋さんです。
こばやしでは、100年近く前の駅弁参入当初から、駅そばも手掛けていました。
現在は仙台駅の在来線改札内・外、両方から入れる立ち食いそば店となっています。
「立ちそば処 杜」は、小林社長曰く、「常連さんのとても多い店」なんだそう。
1つ1つ心を込め、味、温かさ・冷たさなどに気を配りながら作っていると言います。
そばも注文を受けてから生麺を茹で、かき揚げもココで揚げているとのこと。
今年秋からリニューアルされたそばのなかで、この日は「鶏から揚げそば」(420円)を注文。
この唐揚げの形…駅そば好きなら、どこかで見たような気がしませんか?
じつは仙台駅の鶏から揚げそば、小林社長の叔母さんが嫁いだ常磐線・我孫子駅の駅そば店「弥生軒」の看板商品・唐揚げそばをヒントに登場させたもの。
弥生軒に「仙台でもやらせてもらえませんか?」と仁義を切り、快諾をいただいてから売り出したと言いますから、まさに“親しき仲にも礼儀あり”。
大きな唐揚げが載った駅そばを“我孫子系”と呼ぶのなら、みちのくでも正統派の“我孫子系”唐揚げそばをいただくことができるという訳ですね!
東北本線・仙石線経由で仙台と石巻を結ぶ直通サービス・仙石東北ラインの列車には、HB-E210系ハイブリッド車両が使われています。
年末、仙台で新幹線から仙石東北ラインの列車に乗り換える方もいることでしょう。
乗換え列車まで時間がある方は、駅弁屋さんのネットワークで生まれた仙台の駅そばで年越しそば気分を楽しんでみてはいかがでしょうか。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/