英のEU離脱で揉めているアイルランド国境問題とは

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ニッポン放送「飯田浩司の OK! Cozy up!」(3月13日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。13日に採決が行われたEU離脱の協定案の結果を受け、改めて英のEU離脱問題について解説した。

英のEU離脱で揉めているアイルランド国境問題とは
イギリスのEU離脱問題、イギリス議会が離脱協定案を否決

イギリス議会はメイ首相とEUが再協議で合意した離脱協定案の採決を行い、賛成242、反対391で否決した。イギリスのEUからの離脱は今月29日が期限。今後は合意無き離脱と離脱延期について相次いで裁決が行われることになる。

飯田)現地13日、日本時間の明日朝早く、採決が行われるということですが。

高橋)分かりにくいですよね。そもそも何をやっているかわからないところがあるでしょう。

飯田)何で揉めているのかよくわからないですね。

英のEU離脱で揉めているアイルランド国境問題とは

「英EU離脱へ」EU離脱案、大差で否決  15日、EUとの離脱合意案の採決前に英下院で演説するメイ首相=ロンドン(ロイター=共同)

ここまでも揉めている難題はアイルランド国境問題

高橋)振り返ってみると、イギリスがEUから離脱する選択をした。EUから離脱すると関税はEUではないところになります。そうするとEUとの間で国境措置を作らないと関税ができない。イギリスを見ると島国だから国境措置を作ることは簡単だと思ったのだけれども、北アイルランドがアイルランドのところにあります。北アイルランドとアイルランドは歴史的に国境がほとんどありません。そこに国境措置を作るのは、イギリスとしては「ちょっと違うだろう」という話になる。EUの方から見ればそこに国境措置を作ってくれればいい。でもイギリスは北アイルランドだけ別の措置をと言ったけれども、そうすると今度は北アイルランドとイギリス本土が分断されてしまう。これで大騒ぎになってしまったという話なのですよ。解決策はなかなか無い。

飯田)そうすると、かつてのIRAであるとかカトリックとプロテスタントの国教会の争いとか、そういう根深いところまで全部出てしまいますね。

高橋)北アイルランドはイギリスに入ってはいるけれど、もともと独立しようとしていたところなので。イギリスとしては留めておきたい、ただしアイルランドとの間は従来通り国境無しにしたい。そうするといろいろな策が出て来て、国境は無いけれどあるかのように電子的にやるとか、わけがわからなくなってしまいましたね。

飯田)これは、このまま合意無き離脱で行くのか、少し延期するのか。

英のEU離脱で揉めているアイルランド国境問題とは

2018年12月12日、英ロンドンで声明を発表するメイ首相(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

3ヵ月延長すればG20の時期~メイ首相は不参加か

高橋)少し延期するのでも、合意無き離脱は嫌だというのが普通でしょうね。延期が3ヵ月ということになると6月末。G20です。

飯田)そうだ、G20が。

高橋)G20にメイさんは来られなくなるかもしれない。

飯田)そうですよね。国内ががたがたしていると。

高橋)このままだと6月末くらいまで延期されて、いちばん厳しいときにG20をやるような感じもします。

飯田)どうするのだという話合いをしようにも。

高橋)3月末はとりあえずスキップして冷却期間を置くということなのでしょうけれども、アイルランドの話は2年位かけて全然答えが出ないような話ですからね。

飯田)既に市場ではポンドが売られているというような話も出ていますし、日本の企業もかなり進出している。日立であったり日産であったり、大きな工場も持っている。

高橋)大変ですよ。合意無き離脱というのは最悪で、最悪だからこれは回避されるのでしょうけれども、それでも6月末は合意無き離脱でしょう。一気に6月末を終えたら関税措置が一切なくなってしまうなど、大混乱するでしょうね。

飯田)ドーバー海峡からロンドンまで20キロくらいの高速道路がトラックで埋まって駐車場のようになる、なんて話もね。

高橋)そうでしょうね。普通は経過措置を作るのですけれどね。EUとイギリスの間で何らかの妥協があれば経過措置ができて、2年間くらいの間で処理すればいいことを、妥協がなく、「1日で処理しろ」と言われたら大変ですよ。もしかしたら物流が滞って人命にも関わるかもしれないとか、いろいろな話が出ています。

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