イギリスがEU離脱延期へ~譲歩する気のないEU側

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月15日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。イギリスのEU離脱延期について解説した。

キャメロン首相 メイ首相 イギリス EU離脱 合意なき離脱 可決 ブレグジット

ロンドンの英議会下院で欧州連合(EU)離脱修正案が否決された後、発言するメイ首相(イギリス・ロンドン)=2019年3月12日 写真提供:時事通信

イギリス議会下院がEU離脱延期を可決

今月29日に迫ったEU(ヨーロッパ連合)からの離脱について、イギリス議会下院は14日今後協定案を承認することを条件に、6月30日まで離脱を延期することを支持した。イギリス政府は今後EU側に離脱の延期を要請し、何も取り決めのないまま離脱する「合意無き離脱」を避けたい考え。

飯田)協定案を承認することを条件にと言うことですが、この間、それは否決されましたよね?

宮家)何を言っているのかよくわからないですよね。「合意無き離脱」法案に合意するとか、しないとか、という話ではないでしょう。延期したって何も物事は変わらないわけですから。EU側だって、話を聞くと、どうも冷めているみたいですね。

飯田)もうそうなってしまっているのですね。

宮家)だって全然譲歩する気が無いではないですか。アイルランドとの国境問題は、イギリスとアイルランドの問題で大陸のEU諸国は関係無いですから。なぜこちら側が譲歩しなければいけないのか、と冷たいと思います。仮に延期になっても数ヵ月ですよ。何年も待てないです。民主主義は最後の最後は妥協して多数派を作らなければいけないけれど、今イギリスでは全く多数派が作れていません。これは衆愚政治です。「イギリスは民主政治のお手本だったはずだ」と言いたいところです。

飯田)融通無碍に何でも変えちゃうのがイギリスのような政治でした。

イギリス政治の悪循環

宮家)イギリスの政治家の質が下がったと言ったら申し訳ないのだけれど、そもそもの始まりはキャメロンさんが苦し紛れに国民投票をしたことです。やれば勝てると思ったのかもしれませんが、国民投票は水物なのですよ。そのときの雰囲気で変わるので、実際に勢いで「離脱だ」となってしまった。EUを出るのは良いけれど、それ以降のことを議論しないまま出ることになりました。そしてキャメロンさんが失脚して、代わりに首相になったのがメイさんです。メイさんだって火中の栗を拾おうとしてやったのかもしれないけれど、彼女が政治的に強ければ良かったのですがね。彼女は下院を解散して総選挙をやりました。普通ならここで勝ってリーダーシップを執るところなのだけれど、負けてしまった。悪循環がどんどん続いて行って、結局賛成派と反対派とよくわからないことを騒ぐ人の三つ巴になっていて、どんな法案が出ても必ず否決されるのです。日本がそうなってはいけないと思いますよ。ああなったらイギリスの国益が害されているわけですからね。

飯田)落としどころのないまま延期するけれど、延期しても同じことになって、結局6月末にまた同じ危機を迎える。

宮家)ある人は「また2回目の国民投票をやれば良い」と言うのだけれど、もし同じ結果だったらこのままでしょう。結果が変わったら今度は離脱派が大騒ぎになりますよね。イギリスはそろそろ政治のあり方を考え直さなければいけない時期に来ているのだと思います。

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