ヒアリに刺されてしまったらどうすればよいのか
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黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に、昆虫学者で農学博士の五箇公一が出演。ヒアリに刺された場合の応急処置について語った。
黒木)今週のゲストは昆虫学者で農学博士の五箇公一さんです。
ヒアリは怖がらなくてもいいけれど油断してはいけない、ということですが、万一刺されてしまった場合はどうすれば良いのですか?
五箇)ヒアリに刺されて死ぬ確率は低いのですが、アレルギー体質の人は重症化するおそれがある。その割合はよく分かっておらず、100人に1人、100万人に1人とも言われています。しかし一種の食品アレルギーと同じように、体質によって重症化する可能性があるので、油断はできません。アリに刺されてめちゃくちゃ痛かったら、日本には刺されて痛いアリなんていませんから、まずヒアリを疑ってもらいたい。
黒木)痛い。
五箇)とても痛いです。もしアレルギー体質の場合は、呼吸不全やめまい、全身に蕁麻疹が出るなど、全身症状が起こります。それが約20分以内で発症します。そうなったらすぐに救急車を呼んで、病院に行って抗ヒスタミン薬、抗アレルギー剤を打ってもらえれば発症は収まります。
黒木)すぐ冷やしたりすることは関係が無い。
五箇)もちろん冷やすのも効果的ですが、アレルギーが発症したらすぐ病院に行くことが大事です。
黒木)では、その20分~30分で何もなければ。
五箇)何もなければ、後は経過を見ているだけで十分です。
黒木)病院に行くことはない。
五箇)あまり必要はありません。
黒木)外来生物が日本で増加したのはいつ頃なのですか?
五箇)開国ですよね。明治維新以降、一斉に外国産のものを取り入れるようになってから一気に増えました。
黒木)いま当たり前にいる生物で、外来のものはどういった種類があるのですか?
五箇)意外なことに、モンシロチョウやスズメは外来種なのです。稲作文化を取り入れたときに、農作物とくっついて日本に定着した生き物たちです。あとはシロツメクサ、クローバーも外来種です。
黒木)クローバーも。
五箇)クローバーはカタカナで書いている時点でそうなのですが、いま日本ではシロツメクサと呼ばれて親しまれていますよね。古い時代に中国から、物を運ぶときのクッション材として入れていたものが定着したと言われています。意外と身近なところに外来種はいるのです。
黒木)明治以降はどうですか?
五箇)明治以降ですと、麒麟草、セイタカアワダチソウと言われる、秋になると黄色い花を咲かせるものです。あれはアメリカ原産で、明治以降に日本全国に広がりました。
五箇公一/国立環境研究所 生物・生態系環境研究センター室長、ダニ学者、農学博士、保全生態学者■1965年生まれ。富山県出身。
■京都大学卒業後、宇部興産に入社し、農薬の開発研究に従事。
■1996年に国立環境研究所に入所。外来生物や農薬による生態リスク研究を展開している。
■国立研究所の研究者であることとロックファッションのギャップが注目され、テレビ番組などのメディアにも出演。
■著書に『クワガタムシが語る生物多様性』、『終わりなき侵略者との闘い』。共著に『ダニの生物学』『外来種ハンドブック』『感染症の生態学』などがある。
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