【ライター望月の駅弁膝栗毛】
「きょうは曇りでよかったね!」
先日、大船からの横須賀線の車内で、そんな会話が聞こえてきました。
聞けばこの時期、鎌倉の寺社巡りをするには、ピーカンのお天気より、雲が日差しを遮ってくれたほうが、カラダに無理なく、快適に歩けるのだそう。
そう考えると、この時期、曇りの朝を迎えても、スッと気分が晴れるような気がしますよね!
そんな鎌倉散策のお供にしたい季節の駅弁が、6月1日から登場しています。
「大船軒」の「鎌倉散策 夏越ごはん弁当」(1100円)です。
9年目を迎えるという大船軒・鎌倉散策シリーズのこの夏バージョンは、掛け紙にも登場している鶴岡八幡宮などで行われる「夏越(なごし)」の神事にちなんだもの。
“暑い夏を健康に過ごせるように…”という気持ちが込められた夏限定駅弁です。
【おしながき】
・生姜とコーンの炊込みご飯
・ゴーヤの天ぷら
・揚げナスとマグロの煮物
・貝柱のウニソース和え
・鶏ささ身の香味焼き
・オクラと挽肉のカレー風味
・里芋の素揚げ胡麻味噌かけ
・うずら玉子と海老のレモンジュレがけ
・煮物五種(椎茸、筍、人参、インゲン、ちくわ)
・玉子焼き
・しば漬け
・抹茶わらびもち
「夏越」のお祭りでは、例年6月30日ごろ、夏の邪気を祓う神事や健康を祈る「茅の輪くぐり」などが行われることにちなんで、「夏越ごはん弁当」にも輪の形をした「ゴーヤの天ぷら」と「ちくわの煮物」が入っています。
特に夏野菜として知られるゴーヤは、夏を乗り切るにはピッタリの食材。
上手く神事とリンクしていて、いただくほうも嬉しい気分になるものです。
加えてご飯は、生姜とコーンの炊込みご飯。
この時期、とうもろこしを入れ込んだ季節駅弁は各社で見られますが、生姜風味で仕上げてきたところが、日頃オフィスで冷え性に悩んでいそうな鎌倉散策女子に喜ばれるかも!?
さらに気合が入りまくっているのが、手の込んだ和洋折衷4品が少しずつ入ったゾーン。
カレー風味の挽肉と組み合わせたオクラはキーマカレーっぽい食感もあって、食欲がそそられるほか、里芋も素揚げしているので、ほんの少しカリッとなるのがクセになります。
うずら玉子と海老のレモンジュレがけは、程よい酸味が食欲をそそり、夏らしいサッパリ感。
これに貝柱のウニソースも加わって、元・寝台特急北斗星「グランシャリオ」出身、大船軒の製造本部長さんの情熱がジンジン伝わってくる駅弁に仕上がっています。
灼熱の太陽が照り付ける本格的な夏を前に曇り空の日が続くのも、私たちが夏を乗り切ることができるように与えられた“準備期間”とも言えましょう。
ならば、この間に、夏を乗り切る元気をしっかりチャージしておきたいもの。
あじさいの花が咲き乱れるなか、開業130周年を迎える横須賀線沿線は、来たる夏の準備に最適な散策エリアです。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/