【ライター望月の駅弁膝栗毛】
雨晴海岸を走るJR氷見線の普通列車。
立山連峰をバックに、“タラコ色”のディーゼルカーがゆっくりと走り抜けて行きます。
国鉄時代にタイムスリップしたかのような、懐かしい富山ならではの鉄道風景。
万葉集の歌人・大伴家持もこよなく愛したという、美しい景色と相まって、眺めているだけで、時が経つのも忘れてしまいそうです。
(参考)富山県公式観光サイト「とやま観光ナビ」
週末・日曜には、北陸新幹線と接続する新高岡駅から、全車指定の観光列車、快速「ベル・モンターニュ・エ・メール(べるもんた)」も氷見線にやって来ます。
こちらの観光列車は、雨晴海岸の絶景ポイントで、しばしの停車。
1~2時間に1本程度の普通列車が運行されるローカル線ならではの取り組みですね。
万葉集ゆかりの「令和」の新時代、歌の一首でも詠めたら最高なんですが…。
この美しい氷見線の鉄道風景が掛け紙になった駅弁があります。
富山駅弁「源」が製造し、北陸新幹線の富山駅・新高岡駅などで販売している「源の夏めし 越中とやま弁當」(1250円)です。
昨年に続き、今年(2019年)も7月19日から販売を開始、9月末までの販売を予定しています。
富山の幸がたっぷり詰まった夏限定駅弁という訳なんですね。
【おしながき】
・ちらし寿司
鱒はらみ蒲焼、さす昆布〆、鱒酢〆、甘えび醤油漬け、
おくらお浸し、枝豆、錦糸玉子、おぼろ
・白飯
ローストビーフ、富山ポーク焼肉の葱醤油だれ、ししとう唐揚げ煮
・酢の物
・らっきょうワイン漬け
・ガリ
富山の魚と肉を1つの折でいただくことができる贅沢な駅弁です。
ちらし寿司となっている魚ゾーンで、富山県外の方が「???」となるのが、「さす」の昆布〆。
「さす」の昆布〆とは、新鮮なカジキマグロを昆布で〆た、富山の特産なんだそうです。
白飯とローストビーフ&ご当地豚肉のダブル肉料理でこってり、酢飯と魚でサッパリ!
夏バテ気味の体にも食欲が湧いてくる、元気の出る富山の夏駅弁です。
北陸新幹線の開業で、北陸本線は3セク化されましたが、高岡駅で接続していた氷見線と城端線は、JR西日本の路線としてそのまま残りました。
このため「青春18きっぷ」の特例が設けられ、富山駅から氷見線・城端線へ通過利用する場合に限り、あいの風とやま鉄道の富山~高岡間も利用できるようになっています。
残り少ない夏の利用期間、富山の美味しいものと共に楽しみたいローカル線の旅です。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/