【ライター望月の駅弁膝栗毛】
高山本線の特急「ひだ」号が、神通川沿いの谷を抜け、富山平野に出て来ました。
高山以北にやって来る「ひだ」の定期列車は、1日4往復。
通常、名古屋発車時はキハ85系気動車が7両つながった編成ですが、高山~富山間は、グリーン・指定席・自由席が各1両ずつの身軽な3両編成での運行。
富山では北陸新幹線と接続し、高山・白川郷方面へのアクセスを担います。
高山本線は、岐阜~猪谷間がJR東海、猪谷~富山間がJR西日本の管轄となっています。
このため、富山口の列車は、特急がオレンジの帯を巻いたJR東海のキハ85系気動車、普通列車は、JR西日本のキハ120形気動車によって運行されています。
キハ120形は、出入口がバス同様の折戸になっているのが特徴で、ワンマン運転にも対応。
わずかにボックスシートもあり、最近はリニューアルされた車両も登場しています。
高山本線富山口では随一の途中駅・越中八尾駅は、旧・八尾町の玄関口。
駅から徒歩30分ほどの街の中心部には石畳の道が貫く「風情残る町並み」があります。
この地で毎年9月1日~3日に開催される、富山を代表する祭りが「おわら風の盆」。
夏の終わりに300年以上続く、哀愁漂う唄や踊りは、多くの人を魅了しています。
今年(2019年)も高山本線の列車が大増発され、全国から多くの観光客が訪れます。
この週末、「おわら風の盆」で富山を訪れるなら、ぜひ味わいたい駅弁があります。
今年6月21日、富山駅弁の「源」が、満を持して「のどぐろ」の新作を投入しました。
その名もズバリ、「のどぐろすし」(1200円)!
某テニス選手の好物として一躍有名になったのどぐろが、ますのすしを手掛ける源の手でついに押寿しの駅弁になった格好です。
源の「のどぐろすし」は、四角いマスに入った1人前。
木のふたとオリジナルのゴムによって押されることで、ギュッと旨味が凝縮されています。
その木蓋を外して、笹の葉を広げれば、敷き詰められた笹や酢の香りと共に、なかから肉厚で大きなのどぐろの切り身が現れます。
源も“自信作”と自負する「のどぐろすし」、これは自然と期待が高まります!
付添のへらを使って4つに分ければ、ちょうどいいひと口サイズになります。
脂がのった濃厚な味わいののどぐろですが、口当たりは心地いいまろやかさ!
バッテラのように載せられた白板昆布が、いい働きをしてくれているようです。
「のどぐろすし」は、富山駅・新高岡駅などの源の各店舗で数量限定販売中。
富山駅に着いたら源の売店に立ち寄り、帰りの時間に合わせ、予約するのが賢明かも!?
富山・八尾では、「おわら風の盆前夜祭」が8月30日まで開催されています。
前夜祭では、毎晩1つの町内が、輪踊りや町流しなどを行います。
東京から北陸新幹線で2時間ちょっとの富山。
「おわら風の盆」が終われば、程なく新米の季節、その後は魚が美味しい季節の到来。
四季折々、美味しい駅弁と一緒に楽しみたい富山の旅です。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/