【ライター望月の駅弁膝栗毛】
静岡~甲府間を2時間あまりかけ、東海道本線・身延線経由で結ぶ特急「ふじかわ」号。
3両編成のうち、1号車と2・3号車の車端部が指定席、2・3号車は自由席で、静岡駅では主に名古屋・新大阪方面の東海道新幹線「ひかり」号と接続するダイヤが組まれています。
なお、静岡~富士間は進行方向が逆になるため、下り列車では予めリクライニングシートが逆向きに設定されているのも特徴の1つです。
静岡のご当地食材と言えば、静岡おでんでおなじみの「黒はんぺん」!
全国的に、はんぺんは「白」が常識ですが、静岡県民にとって、はんぺんは「黒」が常識。
この黒はんぺんをフライにし、食パンにはさんだ「黒はんぺんフライサンド」(450円)が、静岡駅弁の「東海軒」によって、製造・販売されています。
まさに、静岡ならではのサンドイッチ駅弁と言っても過言ではありません。
富士山が描かれ、静岡の方言で“とても美味しい”を意味する「ばかうまい」と書かれた帯を外すと、黒はんぺんのサンドイッチが4切れ、現れました。
「黒はんぺん」は静岡市や焼津市の海沿いの地域を中心に生産されており、サバやイワシの身をすりつぶし、茹で上げて作られます。
はんぺんと名乗っていますが、全国的に見れば“つみれ”に近い食感が特徴です。
(参考)静岡県水産技術研究所ホームページ
「黒はんぺんフライサンド」が秀逸なのは、静岡らしくわさび漬けが入ったタルタルソース!
黒はんぺんフライのサクサク感、タルタルソースのまったり感、さらにツーンと来るわさび漬けの爽快なピリ辛感が、巧くミックスされて食欲をそそってくれます。
明治時代から駅弁のサンドイッチを手掛けている老舗駅弁屋さんの技と、ご当地の味が作り出す、静岡だからこそいただきたいサンドイッチですね。
「東海軒」によると、「黒はんぺんフライサンド」は、去年(2018年)からこの形で販売しており、最近は軽食駅弁を好まれる方も多いことから、好評を博していると言います。
新幹線で静岡~東京間の1時間、あるいは「ふじかわ」号で静岡~甲府間の2時間あまり、駅弁をガッツリいただくほどではないが、小腹を満たしたい。
そんなニーズにしっかりと応えてくれることでしょう。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/