【ライター望月の駅弁膝栗毛】
八王子と高崎の1つ手前・倉賀野の間を結ぶJR八高線。
今年(2019年)10月6日で、昭和9(1934)年の全線開通から85年の節目を迎えました。
平成8(1996)年に電化された八王子~高麗川間では、中央・総武線各駅停車から転属した209系電車・E231系電車などが活躍中。
多くの列車は、そのまま川越線・川越まで直通運転が行われています。
一方、八高線の高麗川以北は、いまも非電化でキハ110系気動車が活躍中。
列車は概ね1~2時間に1本程度の間隔で、2~3両の短い編成です。
途中の越生・小川町では東武線、寄居では東武東上線に加え、秩父鉄道とも接続。
東京・池袋から1時間あまりで、ディーゼルカーののどかな旅が楽しめるのも魅力です。
なお、八高線の列車は、全て倉賀野から高崎線へ直通、高崎発着で運行されています。
さて、八高線を走るキハ110系気動車は、ボックスシート多めの駅弁向き車両。
平日の日中、高校生の下校時間帯を外せば、のんびりとした雰囲気が楽しめます。
八高線の気動車で駅弁を味わうなら、「高崎弁当」の名物駅弁「鶏めし弁当」(1000円)。
じつは、高崎の「鶏めし弁当」も、昭和9(1934)年生まれの同い年で、今年で85周年!
乗って、食べて、ダブルで「85周年」を楽しめるという訳なんです。
【おしながき】
・茶飯
・海苔
・鶏そぼろ
・鶏の照り焼き
・コールドチキン
・舞茸入り肉団子
・赤こんにゃく煮
・栗甘露煮
・かりかり梅
・わさび風味野沢菜漬け
高崎弁当の先代の御主人が、九州出身だったことが縁で誕生したという「鶏めし弁当」。
新幹線のない時代、上越線で上越国境のスキー場を目指した若者たちに愛されたとされ、地元・群馬の皆さんからも、長年にわたって、アツく支持されている駅弁です。
現在開催されている「駅弁味の陣2019」にも参戦中。
85年という節目だからこそ、改めてその美味しさをじっくり味わいたいものです。
八高線・八王子~高麗川間を走る209系電車の1編成は、10月1日~11月30日までの予定で、「八高線全線開通85周年」と銘打ったヘッドマークを掲げて運行しています。
戦前の開通当初は、信越本線・上越線と東海道本線を、東京を経由せずに結ぶ軍事上の目的もあったとされる八高線。
いまは東京郊外のまちを結びながら、地元の皆さんの大切な足となっています。
(参考)JR東日本八王子支社ニュースリリース・2019年9月12日分
高崎市ホームページ
※(10月21日加筆)
八高線は、台風19号による増水などで神流川に架かる橋が損傷を受けていたことが分かり、10月18日以降、北藤岡~寄居間で運転を見合わせています。運転再開には相当の期間を要する見込みだということです。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/