【ライター望月の駅弁膝栗毛】
仙台~石巻間を、東北本線・仙石線経由で結ぶ「仙石東北ライン」の列車。
交流・直流・非電化区間関係なく走ることができるハイブリッド式の気動車・HB-E210系が、午前中の東北本線を下って行きます。
仙台9:25発・石巻20:59発の1往復は、塩釜・高城町・矢本停車の「特別快速」。
信号機器の更新により、今年(2019年)春から、仙台~石巻間は最速49分となっています。
(参考)JR東日本仙台支社ニュースリリース・2018年12月14日分
仙石線の車窓には、奥松島の海が広がります。
仙石東北ラインのHB-E210系気動車には、ボックスシートがありますので、山手線などで活躍していた205系電車と比べて、美しい車窓をより一層楽しめるようになりました。
やっぱり進行方向に向かって座れる座席は、気持ちも自然と「前向き」になれるもの。
静かな入り江では、養殖漁業が行われているようですね。
奥松島のある東松島市周辺の特産といえば、何といっても「牡蠣」!
親潮と黒潮がぶつかり合う宮城県沖。
加えて仙台湾には、奥羽山脈からさまざまな川が流れ込み、栄養豊富な海になるといいます。
そんな豊かな海を思い浮かべていただきたいのが、仙台を拠点に駅弁を手掛けている「こばやし」が、この夏から登場させた加熱式の新作駅弁、「伊達のかきめし」(1200円)です。
【おしながき】
・味付けご飯(宮城県産環境保全米ひとめぼれ)
・かき煮(宮城県産かき使用)
・煮物(椎茸、人参)
・万来漬け(胡瓜・大根・人参ほか)
黄色い紐を引き抜いて、蒸気で温めることおよそ7分。
ふたを開けると、磯のいい香りと共に白い湯気が立ち上ります。
身入りのいい宮城県産牡蠣を炊き上げ、その煮汁と、蒲焼きのたれを使って炊いたというかきめしは、香ばしさと共に牡蠣のうま味がギュッと凝縮されていて、箸が進みます。
「こばやし」によると、これまでも非加熱容器でかきめしを販売したことはあったそうですが、今回はホカホカの状態で、より牡蠣の美味しさを楽しめるよう、加熱式になったといいます。
ちなみに、「加熱式容器」の駅弁は、飛行機に持ち込むことができません。
紐を引き抜いて、アツアツの駅弁を楽しむことができるのは、じつは鉄道旅ならでは!
これからの冬場、雪が降っていたり、冷たい風が吹き抜けるなか、ホームで列車を待つのは、思いの外、体に堪えるもの。
東北エリアの冬の鉄道旅には有難い、「加熱式駅弁」の存在です。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/